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おもいで(15)

誕生



おはようございます。

「おもいで」について、お話ごとにちいちゃなタイトルをつけてみました。
お話の一番下にリンクもつけてみました。
綺麗に24話で終われれば、なんかいいなあって思ってるんですけど。
今日から、私の生い立ちについて少し触れています。

冒頭から多分、不適切な表現が出てきます。
いまそれを、この指が書きそうな気がするから。
だけどそれは、そのとき感じたことであって、
素直に表現してはいるけど、あまり真剣にとらえないでください。
きっと読み手のみなさまのほうが、重くなっていくと思うので。
さらっとね、流してください。
もしくは、ここで引き取ってください。




では、つづきです。








何から話せばいいのか、
ずっと考えていたよ。

どこから紡げばつながっていくのか、
ずっと思い出していた。

小学生だったあの日、友達に言われたんだった。

「お父さん、働かずに家にいるってほんと?」

私は口をあけたまま、まったく言葉が出てこなくて、
そのまま地面に固まっていた。

ちがう、ちがうの、
あれはね、
怖くて醜い、モンスターなの。
あのひとは、私のお父さんなんかじゃない。
あのひとは、
絶対にあのひとは───





    ◇    ◇    ◇



兄がまだ母のおなかにいた頃、
両親は、待望の赤ん坊を待ちわびて、とても幸せに日々を暮らしてた。
見合い結婚で母が嫁いだ父は、五人兄弟の末っ子で、
元サッカー選手だったために、第一印象が良く、
母は一目ぼれだったという。
父には3人の姉と1人の兄がいて、
本来ならその兄が家を継ぐはずだったのだけれど、
その素質がないと判断した祖父が、とうの昔に勘当してしまっていた。
そして、末っ子の父が、すべての土地や家を受け継いでいた。
その、祖父の判断が、
結局家を没落させたのだから、
名だたる校長センセとはいえ、所詮愚者だったのだろう。
祖父と祖母の子供たち5人は、揃いも揃ってブタだった。
教師夫婦の子息子女とは思えない、不作の数々。
全員ブタだ、豚よりも醜いブタだ。
私が魑魅魍魎と呼ぶ、ブタ兄弟。
なんでか全員まだ生きている、祖母をあれだけ苦しめながら、
いけしゃあしゃあと葬式で
「おかーちゃーん」と泣いていた。
まるで、ただ運が悪かったみたいに、
天災に見舞われたかのように、
被害者づらでそこにいた。
全員、殺してしまえばよかった。





祖父の愛した庭の桜は、
まだあの頃、満開に咲き誇っていたっけ。
あの木をもし切らなかったら、なにかが変わっていたのだろうか。
ふるさとの禍々しさを、振り返るようなことはなかったのだろうか。

兄が、まだおなかにいなければいけなかったとき、
隣の家を占拠していた伯母夫婦がマイカーを側溝にはめてしまった。
伯母家族が住んでいた家は、元々私の両親の新居用にと建てられた家だった。
母は、その家つきで父と見合い結婚したので、
当然新居でふたりきりの新婚生活が送れると思い込んでいた。
でも、祖母は嫁よりも自分の娘のほうを大層可愛がったので、
ある日、家族四人で「行き場がない」と帰ってきた娘に、
その新居を与えてしまった。
もうすぐ嫁いでくる母には知らせず。
そして、盛大な嫁入り道具を運びこむ際に、
母はようやくその家が、乗っ取られていることを知ったという。
母の嘆きもむなしく、父は姉である伯母に甘く、
結局、両親は祖母と3人で、新婚生活を屋敷で送ることになったのだ。

それでも、兄が生まれるまで、ふたりはとても仲むつまじく暮らしていた。
父は、見た目が格好良いのでモテただろうが、
母をちゃんと大事にしていたそうだ。
母は、本当の恋自体がはじめてだったそうで、
父がただただ格好良く見え、まだまだ恋愛気分だったのだという。
だけど、伯母はふたりの姉とともに
毎日本家に出入りして祖母の世話をやき、
結局母は、1人の姑と、3人の小姑に小間使いのように使われていた。
仕事もやめ、祖母の下で家事や親族ごとを手伝う、
そんな労働の日々が続いていた。

伯母たちの母いじめは相当のものだった。
置き場のないほどの嫁入り道具のたんすもただヒンシュクを買い、
お嬢さんでやってきた母に対する、いびりようは想像を絶した。
その日も、おなかの大きい母の体調など考えず、
伯母は側溝に自分たちがはめた車を引っ張り出すよう、要請してきた。
母は近所の大人達にまじって、一生懸命車を持ち上げたそうだ。
そして、急に産気づいてしまった。
結果、急ぎ救急車で運ばれた病院で、
兄は超未熟児としてこの世に生まれてくることになった。

新生児ICUのカプセルのなかで、生死の境をさまよう息子に、
父も母も、病院にはりついて祈りを捧げた。
そして兄がなんとか命の危険を脱し、退院して家に帰ってこれるようになると、
その兄を、本家の長男として祖母はことのほか喜び、
両親も、それから責任を感じていた伯母夫婦も溺愛した。
アルバムには両親が人工ミルクのリバウンドで力士のように膨れた兄を、
重そうに抱えて、でも嬉しそうに階段を歩く姿が何枚も貼られていた。
兄は、家の宝物だった。

そして二年後の春分の日、私が生まれた。
そのとき仕事先から駆けつけた父が、
私を見てひとこと言った。
それが、私のすべてといってもいいような、そんな言葉になった。

「なんや、女か」

父は、吐き捨てるようにつぶやくと、それきり仕事場に戻って行った。
今まで、満点のパパであった父の、見た事もない表情。
母は、当然ショックを受けた。
それは、自分は男を産まなければいけなかったこと、
女では父の愛をもらえないこと、
自分たちのお見合いは、そのための結婚であったこと、
ようやく、思い知ったのだという。
そして、母がひとりで、私にその日の朝の連続テレビ小説で観た、
当時では珍しい自立を目指すヒロインの名前をつけた。

「この子は、男に頼らず、ひとりで生きていける女性になりますように」

私は、ちゃんとその呪文にむくえていますか?



もし母が、私に、その父のひとことを、
内緒にするだけの思慮があったなら、
私の人生は、違っていたのではないかと思う。
だけど、母はことあるごとに、
「お前が生まれたときは、誰も祝福してくれなかった」と嘆き、
私に彼らを恨むように扇動した。
私は兄しか見えない父を憎むことはなかったけれど、
自分が、男に生まれてこなかったことを、ずっと後悔していた。
そして、その後悔は、いまなお私に問いかけをさせる。
ねえ、神様、

私はどうして、女に生まれたの?

私が男で生まれてきたら、
父は私を、愛してくれたの?

私が女じゃなかったら、
母は私を、愛してくれたの?




つづく












  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     











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もう、愛なんか何ひとついらないけど
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おもいで(14)

三本の矢


こんにちはー、みなさま。

「おもいで」も 14話まできました。
いつも我慢強く、小鳥記事をもしかして待っててくださってたら
すみません・・・もうちょっと続きます・・。
でも折り返してはいますので、あとはどーん どーん どーん。
今日と明日はその嵐の前の静けさ部分です。
ずっと、幸せではいられませんでしたが、
私とメリハンとをつなぐ、もうひとりの友人のことを。

では、つづきです。










中学生だった3年間のなかで、
一番幸せだったのは、2年生の夏だったと思う。

夏のコンクールに向けて、朝から晩まで授業以外は練習のしっぱなし。
吹奏楽部の練習は朝も放課後も土日も休まずあったので、
どこのクラブよりも多く学校にいることができて、
家に帰りたくない私には、うってつけのクラブだった。

私は、誰よりも早く出て、誰よりも遅くまで練習した。
どうしてそんなに熱心なの?と聞かれるたび、
「家に帰りたくないから」と素直に答えていた。
だけど、誰も信用しないことが不思議だった。
どうしてみんなは、そんなに家が好きなんだろうかと理解できなかった。
テレビドラマに出てくるような「アットホーム」なんてものは、
所詮テレビの世界だと思い込んでいたあの頃の私には、、
想像力というものが欠けていたのかもしれない。
だから他の部員は塾や家族との約束ごとで休みも多かったけれど、
私は一日たりとも練習を休んだことなどなく、
やはりどこかでひとり浮いていたんだろう。
私が最も話があうのはやはり指揮者であり音楽家である顧問の先生だった。
先生は、いろんな音楽を教えてくれた。
演奏会にも連れていってくれた。
家にも招いてもらって、沢山のレコードを聴いた。
その先生に師事することで、ようやく、
もうひとつ上の段階へすすめた気がした。

楽器というのは、厄介なもので、
練習を1日休めば、取り戻すのに3日はかかる。
口の筋肉は使わなければ、すぐに衰えるため、
休み明けの練習は、口の筋肉痛がひどくなる。
私はその痛みが嫌いで、マウスピースを家にも持っていて、、
夜でも犬の散歩に行きながら、吹いていたものだった。
楽器は、クラリネットに戻ることは無理だったので、
サックスを吹きながら、オーボエを習い始めた。
オーボエは、木管楽器のなかで、ファゴットと並んでとても難しい。
これだけは他に習いにいかないといけなくて、
顧問に紹介してもらった指導者のもとへ通った。
正直に言えば、私の練習スタイルは、
公立中学の部活範囲としては、のめりこみすぎだったと思う。
普通に府内の金賞を狙っているだけの集団のなかで、
ひとり私は全国に出るつもりだったのだから、
「何言ってんの?」的な失笑を買っていたと思う。
ひとりはりきって先を目指しても、
吹奏楽というのは所詮合奏なので、個人の技量は成績には現れない。
モチベーションだって、かなり違っていたのだろう。
頑張れば頑張るほど、合奏中の音の拙さに辟易して、
むしろ満たされなさでストレスがたまる一方の私を見かねて、
顧問の先生が知り合いの高校を紹介してくれた。
おかげで、週末はその高校で練習することができるようになり、
初めて自分より巧い人達と音楽ができる喜びに目覚め、
スケジュールは厳しくても、私は毎日幸せだった。
そこは私立高校だったので学費が高く
進学することはままならないとわかってはいても、
そこで会う全国レベルの音に心酔して、
もし府立の音楽科に合格できなくても、
こうやって高校でも楽器が続けられればいいなあと、夢まで見ていた。

そんな世界を見せてくれただけで、渡りをつけてくれただけで、
私は顧問の先生への感謝と恩に報いたい思いでいっぱいだったし、
先生の音楽への情熱をそのまま受け継いでいた私と先生は、
とても親しかったのだと思う。
そして
夏のコンクールへの曲に、私のソロがメインで入る曲を選んでくれたときは、
素直に努力が認められて嬉しくて泣いた。
もちろん緊張もプレッシャーも非常に大きかったけれど、
先生の指導の甲斐あって、コンクールでは無事演奏できて、
その年の成績は、部創立以来の好成績をおさめることができた。
おかげで、1年前はあれほど苛めてきた先輩たちが、
最後の最後で「あんたのおかげでとれた」と泣いて喜んでくれて、
ようやく私は、先輩たちと仲良くなれた気がした。
そして私は、先輩たちの投票によって、
ようやく部長になることができた。
そして私は部員の前で、
もう誰にも無視されない、孤独な音を奏でなくていい、
学年関係なく、上手い者、努力する者を優先して編成する
爽やかな楽団を作りたいと宣言した。

私の中学では 部長会議なるものが存在して、
月一度、各部の部長が一同に介して、イベントや問題について交流しあった。
そこでまた投票があり、私は演劇部や美術部など文科系の部長のトップに、
そして友人で女子バスケ部長の東山が、体育系の部長のトップになった。
東山は私の小学校からの友人で、近所の古い神社の神主の娘だった。
成績は抜群で、いつもオール5。
背が高く、快活で黒い目がキラキラと輝いていて、
性格は明るくて、快活。
いつも礼儀正しく、品格があり、健康的。
バスケ部のエースで、女子からラブレターをもらうほどの格好よさ。
当然教師の覚えも大変めでたく、
彼女は間違いなく学園一の才媛だった。

そんな誰もが羨む東山は、実は誰にも言えない悩みを抱えていた。
彼女には、兄と姉がいたのだけれど、
10歳以上歳が離れていて一緒に暮らしていない。
ほとんどの生徒は知らなかったけれど、
私は祖母たちから聞いていたので、知っていた。
彼女のお母さんは、後妻さんで、
お兄さんお姉さんとは腹違いだった。

私は彼女の家の神社に何度か用事で寄ったことがあるのだけれど、
そのたびに年老いた神主さんが出てきた。
中学生の彼女のお祖父さんと言ったほうが、しっくりくるその人が、
彼女のお父さんだった。
それは、神社の娘 という範疇で、
彼女をお嬢さんとしか捉えない人々には見えない、
彼女のいわゆる弱点だった。
彼女は友達が家に来るのをとても拒んでいたし、
自分から両親の話をすることはなかった。
それでも、変な噂はよく流れていて、
お父さんの職業が神官だけに、大人たちの嘲笑のまとだった。
そんな東山の隠している環境を、気づいていても、
口にしなかった私やメリハンの包括さを、東山は気に入っていたのだと思う。
彼女のような超優等生と真逆のメリハンではあったけれど、
私たちはとても気が合い、3人でいることは実に楽しかった。

東山が常に職員室の感嘆を誘う、模範生徒であっただけに、
先生たちは私以上に忠告を重ねていたけれど、、
メリハンとの友情だけは、彼女は頑として譲らなかった。
もともと頑固で潔癖で正義感に満ちたジャンヌ・ダルクな東山は、
不良とか、落ちこぼれといった眼鏡で人を見る事はなかったし、
一緒にいるからと言って、他のことをおろそかにする子ではなかったため、
メリハンと東山と私というアンバランスな3人を、
ようやく学校も認め始めていたのだと思う。
私も、ひとりよりは東山というガードを得て、、
両翼でメリハンを包囲できて楽になっていた。
部長運営で望む文化祭も体育祭も、私たちはメリハンをうまく扇動して、
いつも出てこなかったり、
妨害したりする不良たちを、参加させることに成功した。
メリハンは私と東山の二人がかりにあって、大いに文句をたれながらも、
頻繁に学校へやってくるようになっていたし、
東山の陰謀で、彼女が籍だけ置いて幽霊部員だったバドミントン部の
練習試合にも無理やり出場させられていた(ラケットも持ってないのに)。
東山は彼女の取り巻き達も揃ってバドミントン部に入部させ、
休み時間に、長いスカートの不良少女たちが
バドミントンをしながら笑っている光景をよく見るようになった。
それらはすべて東山からの教師たちへの誠意だったし、
先生たちも、そんな東山をますます尊敬した。
メリハンがライオンの日は二人がかりでも、きつかったけれど、
普段猫でいてくれるときは、うまくいった。
学校中がおだやかにすぎた。
「3本の矢は折れないんです」を合言葉に、
私たち3人は、なにかあれば寄って一緒に行動した。
私には今までと違って少しずつ、
メリハンが「学校は楽しい」と徐々に感じはじめていることを知っていた。
その頃の私には夢があった。
メリハンをちゃんと卒業させて、高校に入れること。
そのために、今の成績と出席日数では難しいとは知っていたけれど、
たとえどんな高校でもいいから、
進学させること、そんな夢を、ぼんやりと描き始めていた。


いつもあの頃、
3人で校舎を駆けていたオレンジの夕暮れ。
3人とも、いろんなものを抱えながら、
それでもいつも、冗談を言って笑っていた。
大人になれば、あと少したてば、
強大な力が手に入って、強大な自由が手に入って、
こんな町から出て行く。
そのための潜伏期間のような、
そんなソルジャーな私たち。
そのときは、二度と会わないでいようと、
都会で会っても、知らないふりをしようと言ってたね。
昔を思い出すすべてのものを、
私たち3人は捨てる夢を見てた。
そしてそれは実現してしまう。

もう二度と、会うことはない、
それが、約束だったから。



つづく










  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

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楽しかった、あの頃

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おもいで(13)

つかのま



想像をわかりやすくしたくて正直に書きますが、
自分の生家は、社会の授業じゃ喩えになって出るほど、
古い大きな屋敷でした。
犬上家のそれとよく似ていて、
暗くて、陰気で、おどろおどろしくて、
本当に、朝も夜も、襖をあければお化けが出てきそうな、
怖い怖い黒い家でした。
その黒い家のイメージがそうなのか、
私の記憶もとても怖いものばかりで、
だから、普通に書いても時々、
読む側によっては、ショッキングなことが出てくるかもしれません。
先に謝ります、ごめんなさい。
ではつづきです。













「ただいま・・・・」

家に帰ると、ヒィッ!ヒィィッ!と、
泣き叫びながら洗い物をしている母がいた。
流れっぱなしの水道の音。
ごしごしと洗われて濯がれる食器は、最後に水切りかごに入れられて、
それらはすべてガシャンと割られていく。
母は、次々に洗い続ける。
そしてそれを、狂った力でたたきつけていく。
派手に音をたてて欠けていく茶碗たち。
ヒステリックに血走った目は、もう、何も見ていないのを確認して、
私はそっと自分の机のある部屋に向かう。
それが私の、いつもの日常。

勉強机のイスに座って、
とりあえずぼうっとして、意識を遮断させる。
自分の見たものを心のなかで消して、
制服を着替えようとする、その瞬間、
馴染んだえもいわれぬ悪臭が、ふっと流れ込んできた。
途端に、足のつま先から、頭のてっぺんまで、ぞわりと波立つ。

「・・・おかえり・・・・」

真後ろから、声がする。
私の息の根を止める声がする。
それが、私のいつもの日常。


私の家には、モンスターがいた。




    ◇   ◇   ◇



私は二年生になった。

学校というのは不思議なもので、ひとつ学年があがっただけで、
なんだかいろんなものを得られるようになっていた。
後輩ができると、守ろうとか、役にたとうとか、
そのことによって成長していくことになる。
私もようやくクラブに後輩ができて、
慕ってくれる喜びを覚え、あれだけ疎外してきた同級生とも、
うまくやれるようになっていた。
メリハンはメリハンで、取り巻きに派手な後輩たちが増え、
ますますその地位を不動のものにしていった。
可愛い後輩たちに囲まれ、照れくさそうにしながらも世話をやく彼女の姿は、
当時流行していた「極道の妻たち」の姐さんそっくりで、
私はつい「ごくつま」と呼んだりしていた。
そんな変な呼び名に「アホ言いなや」といなしながらも、
彼女はなんだかイキイキとして、嬉しそうにしていたので、
私も、ほっとしていた。

小さな田舎町で起こった、殺人事件のニュースは、
犯人が自殺したせいか、あっというまに収束した。
今でもテレビで見る有名レポーターが学校へ来たことがあったけど、
門の前でなにか撮影していても、それがどこか現実のことには思えなかった。
先輩はあのあと、なぜかメリハンの家に一週間ほど宿泊していたらしい。
そんなに仲良くなかったはずなのに、メリハンを頼っていった先輩。
そこでなにが話されたのか、先輩はそのあと、
一度だけ私のつきあっている彼に逢いに、学校へやってきたらしい。
メリハンは私にもう何も言わず、単独で先輩の教室へ行き、
連れ出して、門の前で彼女に会わせた。
そのことを後から先輩に聞いて、なんとなく「ごめんなさい」と謝った。
常に台風のようなメリハンが突然教室に現れたら、
一般人の彼はとても困ったことだろう。
照れながら
「最後に挨拶したかったんだって」
そうわざわざ教えにきた彼は、
きっと先輩にも礼儀正しく、優しくさよならをしてあげたんだろうと思う。
私を「サセ子ちゃーん」と全校生徒の前で叫んだそのひとなのに、
私もその先輩に対して、憎いとか、妬くとか、逆に哀れだとか、
感情はなにひとつ生まれてこなかった。
ただ、漠然とした私の学校生活において
「邪魔者がひとり減った」
その安堵だけは、ひそかに息をもらし、私を安心させてくれた。
そして私が心の底から嫌って抵抗した担任の教師は、
春に隣校へ移動していった。
「邪魔者がひとり減った」
私はまた、邪悪な心で微笑んだ。
偶然なのか、私のせいなのかはわからない。
私もまた、モンスターだったのかもしれない。


高校に受かった元彼と、今彼の両方を、
多分適当に渡り歩いていた不実な私ではあったけれど、
お互い黙認してくれていたので、仲良く3人で会うことさえあった。
間違っても恋なんかしなかった。好きではあったけれど、
いくら自分の気持ちを聞かれても、
「先輩が欲しい」という言葉は出てきても
「先輩が好き」とは一度も出てこなかった。
私はただ、なにかのなにかでありたかった。
誰かのなにかでありたかった。
先輩の彼女のあの子、メリハンのともだちのあの子。
自分が自分で呼ばれないように、いつだって隠れていたかった。
せめて希望の高校へ入るまで、気持ちの良い席で笑ってすごせればよかった。
推薦もらって音楽科へ入学して、音大へ入って、
そのへんのレコーディング会社かなにかに就職する。
大それたピアニストでも作曲家でもない、
町外れのレコード店の店員でもよかった。
そんな小さな小さな、でも頑張ればなんとかなると思えた将来を、
私はひっそりと夢見てた。
そしてそんな夢をはぐくみながら、時は穏やかに過ぎていく。

だけど、そんな小さな願いを、
私は自分自身でつぶしてしまう日がやってきた。
あの日、私はとうとう、
彼女を救うことに成功した。
それが、どんな代償を払わせることになるか、
もし事前にわかっていたら、私は同じことをしただろうか。
あの場所へ出かけただろうか。

何度も、振り返る。

だけど、やっぱり、思い浮かぶのは、
自分が目指したあの場所だけ。
迷って、さんざん迷って、
選んだのは、彼女の笑顔だった。

ねえ、メリハン、あの時の私は、
ほんとうにどうかしていたみたいだよ。

あなたを救けることしか、頭に浮かばなかった。
たとえ何もかも失った私を、あなたに捧げることになっても、
あなたがずっと望んでいたとおり、地に堕ちたとしても、
それでも、守らなきゃって思ったの。
そして私は走ったの。

もしかして、本当は、
あなたに、恋をしていたのかもしれないね。
走って走って、走りながら、
あなたの名前をずっと呼んでいた。
私にだけに許してくれた名前を、
何度も、そう何度も。
あなたを「欲しい」とは思わなかった。
あなたを「邪魔」だとも思わなかった。
だけどありったけの勇気を集めて、
私はあなたのもとへ走ってた。
見返りも、思惑も、なにもなく、
私はただ、あなたを見つけて奪いたかった。
それが恋なら、仕方ない。
それが友情なら、甘んじて、
走れメロスになろうと思った。
それが私の、あなたよりは勉強のできた私の、
命を張ったシャレだったんだよ。







つづく









  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

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   番外編(2) 「おわび」
     









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なぜあの日君は、無防備になったの?

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

おもいで(12)

殺人事件


最近、
私は自分の中学時代の思い出が、
こんなに長い思い出話になると思ってなかったような、
いや、やっぱり、はじめからわかってたからこそ、
この話をあまり今までひとに話したことがなかったんじゃないか とか、
いろんなことを考えながら、「おもいで」を書いています。
ちゃんとね、プロットっていうの?構成っていうか、
組み立ててから書くほうが楽だったかもしれないんですけどね、
全部、いきあたりばったりで書いてます、思い出しながら・・・。
だから時々、書きながら、
ああそうそう、あんとき彼女こんな顔だった! みたいな、
一緒になって文章の中をさまよって、
記憶を思い出して書き足すこともあり、
書く事で、封印していた思い出を今になって発掘しているような感覚です。
こういう作業が、なんで今必要だったのか、
いつかわかるんでしょうね、また、何年かしたら。


では、つづきです。







私がクラス代表に選ばれたとき、
英語の先生は、とても困っているようだった。
確かに他のクラスに比べて、私のクラスはどこよりも発音が下手で、
そんな似たり寄ったりの低レベルから、
ちょっとましに聞こえる子を選んだだけだったと思う。
他のクラスにはハーフや、ジュニア英会話でならした子たちが選ばれていて、
どうやっても、流暢な英語に勝てそうには思えなかった。

だけど、私は、みんなの同情を買いつつも、そんなに心配していなかった。
私のなかで、すでに英語っていうのは、「言葉」であって、
「話そう」という意識を持って
相手に通じる単語を使って声を出すことが語学で、
その道具がABCだったり漢字だったりするだけ。
そんなふうに、解釈してしまっていたから。
たとえ単語が出てこなくても、三単現のSがつかなくたって、
それくらいで通じないものではないと、どこかで達観していた。
英語が特別なものだなんて思わなかった。
嫌いだった、大嫌いだった。
なぜなら、私は毎日、
くぐもった下卑た声で、
「I love you 、I need you」を聞かされていたから。
流行の歌詞ではなく、耳触りのひどく悪い声で、
耳を塞ぎたくなるほどの、ぞっとする声で。


   ◇   ◇   ◇


文化祭や、ピアノや部活で忙しく駆け抜けて、3学期を迎えた冬、
私は3年生の彼氏だった先輩に
「受験が終わるまで距離を置きたい」
と言われてしまう。元々クラリネットリーダーが好きだったひとを
奪うのが目的で私が始めたようなものだったので、
先輩にしてみれば、
「そんなに僕が好きなら、見守って」
的な、超かっこつけたサヨナラを演じていたのだと思う。
だけど私は、その時にすでに2年生の先輩と良い雰囲気だったので、
「はい、じゃあ、受験がんばってくださいね」
といって、素直に別れに承知した。
先輩だって、「あいつにかまってもらえ」と言っていたのだ。
それくらい、自信家で、ナルシストなひとだった。
いつだって、「最後は俺が好きなくせに」と思われているような気がした。
多分今でもそう思われているような気がする。
なぜなら、そのひととは結局、大学を卒業したあとも
年に一度くらい呼び出されて逢うことがあった。
今でも、結婚して地方に住んでいるくせに、
「帰京してる、○○ホテルにいるから」
みたいな呼び出しが、かかってくるときがある。
そんな誘いに本気でこっちがノると思ってんだろうかっていつも不思議だけど、
ようは思い出話も含めて、昔に戻りたいんだろうなって最近感じる。
いつまでも都合のいい先輩・後輩、んでもっておマケがつく。
「お前が結婚したら連絡するのをやめる」
って言われるのは、つまり同情されてるんだろうな。
あんだけ無視しても、堂々と、今でも送ってくる年賀状が大変よろしい。


で、話を戻すと、その呆れるほど自信家で甘々の先輩に恵まれたあと、
私は結局「待ってます」なんて言っておきながら、
さっさと、その彼の後輩でもある、2年生の先輩と付き合い始めた。
そうしたら、その先輩には元々、
同じ二年生の女子で、ファンを公言してるヤンキーがいて、
まあ当然ながら、彼女は「乗り換えてきた」私に激怒してしまった。
で、すぐに呼び出された、それはもう、すごい形相で、めちゃめちゃ怒ってて、
絶対殴られると思えた。でもそのときも、
「他はいいけど、指折られたらどうしよう」って、
そこが一番の心配だった。
だけどなぜか、私は殴られなかった。
とにかく「別れろ」と脅されただけで、
ずっと無言で返事をせず、グーをつくって指を守ってた私は、
小突かれても、手を出されることはなかった。

その日はさすがにショックだったので、
家に帰ってからもずっと
「別れへんと、また呼び出されんのなあ」
なんて考えていたら、遅くにメリハンから電話があった。
「ちゃんと別れてきた?」
「・・・どういうこと?」

いきなり、明るくたずねてきた彼女の第一声に動揺した。

「いや、別れろってあいつ言うてきたやろ?」
「そうだけど・・だからって、なんであんたが知ってんの?」
「そら聞いてたもん。今日あんた締めるって」
「は?どういうこと?」

なんだか、嫌な予感がした。

「ちゃうで、最初はうちに別れさせるように言うてきたさかい、
 そんなん自分で言うてって言うたったんや」
「なにそれ?じゃあ、私が呼び出されるて知ってたん?」
「あたりまえやん、昨日先輩うちにいたもん」
「はあ?それどういうこと?家で作戦練ってたってこと?」
「そうじゃないけど、わあわあ泣いとったし。もうめんどくさいやん。
 そんだけ言うてるんやったら、あんたが別れたったらええやん」


メリハンの告白は、私を打ちのめすのに充分だった。
彼女は私が、その先輩たちに呼び出しくらって締め上げられることを、
はじめから知っていたのだった。

確かに彼女とそのひとが交流があるのは知っていた。
メリハンのほうが立場が上なのも知ってたから、
メリハンが止めることができるのも知っていた。
私がメリハンの友達なので、お伺いたてにきたそうだ。
そして、それを彼女は許したのだと言う。
「どーぞ、どーぞ」と差し出して。
結局、
彼女にとって私は、それくらいのものだった。
「たまにはおしおきが必要」そんなふうに笑っていたかも知れない。

だけど、逆だったら?彼女に向かってくるひとがいたら?
私はきっと、止めたと思った、守ったと思った、事前に彼女に報告して、
「逃げろ」と言ったと思った。
私は青田さんのことがあってから、ずっとそのつもりでいたのだ。

なのに、彼女は私へ攻撃を黙認して、さらに向こうの肩を持つ。

「あいつの家庭環境、すげーかわいそでさァ」

それがどうした ふざけんな

「あんたみたいな恵まれたお嬢ちゃんには、またすぐいいことあるって」

なんにも知らないくせに なんにもわかってないくせに

「手は出すなって、口だけにしてって、ちゃんと言うといたよ?」

ありがとうは? そうはしゃいで聞く彼女の声を聴きながら、
私は言葉が見つからなくて、じわっと何かが溢れてきて、
そしてぼたぼたと涙を落として泣けて来た。
前の先輩とのときも、さんざんいじめられてきたけど、
所詮文科系の苛めなんか、陰口や無視のほうが多くて、
表立って、ああやって呼び出されて詰め寄られることなどなかった。
平気なふりをしていても、ずいぶん怖かったのだと思う。
そこへ、どこかで自分だけは特別な存在と信じてた
思わぬ友の裏切りにあって、私の感情は爆発しそうだった。

「・・・もういい、ごめん」

ほとんど自分から切ったことのない電話を、
先に切って、そのまま受話器をあげた。
心のどこかで、最後はメリハンになんとかしてもらおう なんて、
考えてた自分が恥ずかしくて、情けなくて、悲しくて涙が止まらなかった。
なんで私は、メリハンに何度裏切られても、
心の絆を信じてしまうんだろう。
ふたりは特別なのだと、期待してしまうんだろう。
何回同じことを繰り返せば、
私は彼女と離れられるんだろう。

泣きながら、迎えた次の日から私はメリハンと話さなくなった。
そして、ふたたび弁論大会の練習に没頭した。

我が校の弁論大会というのは、1年から3年の全学生の前で、
クラスの代表がひとりづつ、英語でスピーチするものだった。
審査は英語の全先生と審査員に選ばれた学生が行い、
学年別と合同で3位まで表彰される。
当然その成績は内申に有利になるもので、クラスごとの応援もあり、
頑張ったほうがいいにきまってる。
だけど、私はどこかで空回りしている自分を感じてた。
なにもかもが、うまくいかない、それは、

「来るべきときが、来ているのかもしれないな・・」

ひとり、自分にだけわかるなにかに、
とうとう捕まったような気がした。

私は呼び出しを受けたあと、そのことを彼に隠して、
別れるそぶりをまったくみせなかった。
特にいちゃいちゃしていたわけじゃないけど、
鞄を持ってもらって一緒に帰る、その姿を隠したりしなかった。
襲ってくるなら、襲ってみろ と思っていた。
私は待っていた、メリハンがやってくるのを。
私に「別れろ」と言ってくるなら、それはあの子でなければならなかった。
そのときすでに、私のイライラはピークに達していた。

だからかな、その頃から急激に私は、
担任の先生に刃向かうようになっていった。
その先生はなまりがきつくて、「ざじずぜぞ」が言えなかった。
だから「ぞうきん」は「どうきん」、「Y座標」は「わいだひょう」、
「全然」は「でんでん」と、発音した。
ずっと入学したときからそうだったのに、
今頃になって私は、急にそれが我慢できなくなっていた。

毎日毎日、繰り返される英語の発音練習、音のピッチ練習。
正解が出るまで、正しい基本が発音できるまで、
それは何度も続けられていた。それがそのときの私の世界だった。
なんで?正しくなくても、通じるのに、
正しい音を習得しないといけなのはなぜ?
教科書に書いてある口の形を保たないといけないのはなぜ?
じゃあ、なんでこいつは数学の先生なのに、
正しくない言葉を修正しないの?堂々と先生してるの?
教科書に書いてある「ざ」が「だ」で、なんで許されるの?


そんな、ちっぽけな怒りが、ふつふつ湧いてきて、
私はその先生の声を聞くのが嫌でしょうがなくなってしまった。
先生の声はもともと似ていた、私のもっとも嫌悪するものにそっくりだった。
もう生理的に駄目だったんだと思う。
だから、そむいた。なにもかも言う事をきかなくなった。
何か言われれば
「正しい発音ができるようになってから説教してください」
青く突っぱねた。

親に電話がかかってくることもしょっちゅうになって、
そのたび私は親から受話器を取り上げて、電話を切った。
電話が腐るような気がした。
当然数学の試験は白紙で出した。
その時ばかりは内申書のことなんか、考えられなかった。
そのことがバレると、他の先生の前ではつとめて品行方正でいたためか、
学年主任に担任と3人で話し合いをされることになった。
だけど、私は貝になった。 なんで先生が嫌いなのか話さなかった。
アニメに出てきた、海のシャコ貝をイメージして、その時間を耐えた。
先生の発音が誰に似ているかなんて、
私は口が裂けても言えなかった。言わなかった。
メリハンの影響だと、どうせみんな思っていたのだろうけど、
ならなんで彼女と今一緒にいないのか、友人たちも不安そうだった。
だけど、私はそんなことすら、なにひとつ打ち消さなかった。
そんな意地をはるように孤立する私を、
弁論大会の代表から下ろそうと担任は呼びかけた。
だけど、時期的に無理で、結局私は不安定なまま出場してしまう。

その日、徹夜明けの私の番になって壇上に立った途端、
いきなりどこかで奇声があがった。
みると、私を呼び出した先輩グループが、
体育館の後ろのほうでやじを飛ばして騒いできた。
「たらし」とか、「ヤリマン」とか、「下手くそ」とか。
彼女たちはすぐに追い出されたけど、
それまでほとんど寝ていた生徒たちの目を覚まさせるには充分だっただろう。
私のせいできっと、3年生の兄も、元彼も今彼も、クラスメートも、
恥ずかしい思いをしているだろうな、こっちも恥ずかしいな。
そんなことを、ぼんやり思った。

そして、目にはいったのは、彼女たちと一緒でなく、
普通にちゃんと席についていたメリハン。
彼女は、手をたたいて、なぜかお腹が捩れるほど大ウケしてた。
それを見たときに、感じたこと、
「ああ、私、あの子に笑われたら、もう終わりだわ」
結局私は、差別してた、それが一番ショックだった。
で、もう脱力しちゃって。
頭が真っ白になってしまって、あんなに練習したのに、
口だけ勝手に動いただけで、ほとんど棒読みだったと思う。
結局、私は入賞なんかできなかった。



そして、一週間後に、本当の事件が起こった。


その日まで、ろくに口も聞かなくなっていたメリハンが、
突然私に、喧嘩なんか感じさせない様子で、話しかけてきた。
私はといえば、彼女が朝一番に来てるなんて珍しいなと思って、
面食らっているうちに、目の前に立たれてしまっていた。
メリハンは私に、いつもの横柄さを閉じ込めたような、
ひどく下手なかんじで、切り出した。

「やっぱり、別れてあげてよ」
「は?何今さら」
「あんた知らないの?」
「だからなにがよ?」
「あんたを呼び出した先輩のお父さん、お母さん殺しちゃったんだって」



  先輩のお父さんが、お母さんを殺して逃げました。
  先輩は目の前でそれを見てしまいました。
  その後、お父さんは行方不明になりました。
  先輩はおばあさんとふたり、家に警察にとどめられていました。
  次の日に、お父さんは、墓地で首を吊っていました。
  先輩は学校に来なくなりました。



「・・・だから何?」
「だから、かわいそうだって言ってんの、
 先輩なぐさめに行けって、あんたの彼氏に言ってやってよ」


事件は学校をのみこんで、
そういや廊下で泣き合う二年を見たような、
誰もがひそひそ話していたような、そんな気はした。
だけど、

「・・・バカじゃないの?」


自分も死んじゃったんだから、
お父さんはお母さんに、愛があったってことじゃないの?
娘を道連れにしなかったのは、愛された結果じゃないの?

「そんなことで、あたしは別れないよ・・」

人を殺したいと思ったことはないよ。
だけど、刺し違えても殺さないといけないかもしれない時は、
もうすぐ、そこに来ていたの。
私はそれを、ずっと前から感じて育った。
そのひとのそばで殺意を育てて育ったの。
だから、だからねメリハン。

あんまり、私を刺激しないでよ。






つづく









  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     








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だんだん怖い雰囲気に・・・

テーマ : 日記
ジャンル : 小説・文学

おもいで(11)

田部くん



こんにちはー。



今回はメリハンの初めての彼氏のおはなしです。
だからちょっとゆるーい感じ。
でも、なんだか忘れられないエピソードなので。



ではつづきです。






あれから、

私たちは結局、誰にも捕まらなかった。
もちろん、捕まりたくなかったのだけれど、
私はあの全裸の少女たちが、路上で何人ものひとに裸を見られていたので、
すぐに公衆衛生法違反かなにかで捕まって、
そのまま、私たちもいずれ捕まるんだとドキドキしていた。
もしかしたらその日のニュースになってるんじゃないかとさえ思って、
テレビにかぶりついていたものだ。

だけど、なぜかわからないけど、なにひとつ起こらなかった。
次の日学校へ行けば、ただ平凡で退屈な、いつもの月曜日がはじまっていた。
私は最初こそびくびくしていて暮らしていたんだけれど、
だんだん、自分でも、あれは夢だったんじゃないかと思うようになり、
誰にも話さなければ、きっと逃げられる、
そう思うようになり、そのうち思い出すことをやめてしまった。
メリハンもなにも言わなかったので、
とりあえず、高校のことはいったん聞かなかったことに、
お互い暗黙の了解で、これ以上話すことをしなかった。

メリハンは相変わらず二学期も学校へあまり来なかったし、
来ても授業をさぼって、どこかに潜んでいるようだった。
その事件のあと、彼女がいると告白した店員につきまとうのをやめたので、
自然とオフの日も遊びに行かなくなっていた。
そして、そのうちメリハンには校内に彼氏ができた。
その彼は、私の小学校からの同級生で、昔から友人だった、田部くん。
田部くんは、正直言って、背の高い、もやしのような痩せた子で、
性格も大人しく、おどおどして、けして不良の要素のまるでない、
普通の、ほんとうに普通の少年だった。

だから当時は、なぜあのメリハンが彼なんかを選んだのか、
私も、学校の先生でさえ、首をかしげる事態だった。
話があうとも思えないし、テンションもまったく違うし、顔も格好良くもないし、
いったいどこに惚れたっていうのか。
それは最初、何度ふたりが一緒にいるのを見てもよくわからなかった。

だけど、田部くんのご両親はびっくりして(本当に超びっくりしたんだと思う)
学校側へ訴えるほどに、交際反対行動を始めた。
メリハンは生活ごとひっくり返していく、耕耘機のようなもので、
田部くんはたちまち、親の言うことをきけない、
生活のすべてをメリハンにささげる生活を強いられるようになった。

だけど当時メリハンのアプローチを受けて、
堕ちない男子学生なんかいるわけがなかった。
毎日毎日「ここが好き」「あなたが好き」「かっこいい」「私を見て」
ミニスカートで、胸をはだけて悩ましげに寄り添ってくるメリハン。
毎晩電話をかけてきて、気をもたせていくメリハン。
そんな情熱のオンパレードに、どうやって下半身成長期の中1男子が勝てただろう。
しかも、学校中の注目のまとになるという、おまけがついてくる。
田部くんはあっという間にメロメロになっていた。
「ある意味、これはまたメリハンの犠牲になるんだろうな」
そして私は、そんな彼が気の毒だと思いつつ、
自分の荷が少し下りたような気がして、影でほっとしていたりした。

しかしやっぱり彼女は違うなあと感心したのは、
あのとっぽい田部くんが、どんどん魅力的な男子に成長していっちゃったこと。
たった二週間ほどで、なんとなく田部くんがベールを脱ぎ始めた。
180センチはある高い身長、やせて細長い手足に、
メリハンのアドバイス(というか命令)を受けて茶色く抜けた髪が、
小さい顔が際立つように、ウエーブをかけてスタイリングされていくと、
たちまち田部くんは、雑誌のモデルのようになっていった。
顔はともかく、スタイルは抜群。
何を着ても、足の長さに目が釘付けになる女子続出。
メリハンは、「当然」という顔をして、
彼をどんなときでも連れまわしていた。
彼女は最初から、彼の素質をただひとり見抜いていたのだった。
そしてバスケ部でも、弱々しいプレーで補欠だった彼が、
自信がついたのか1年生ながらレギュラーになり、
その練習が終わるのを体育館で待つメリハンの姿は、
先輩たちに一目置かれる理由としては充分だったのだろうと思う。
(ま、実際には放課後だけ来て、裏でタバコ吸って遊んでたわけだけれども)
家まで送らせるのは、彼女にとっては当然の彼氏の義務だったので、
大人しい田部くんは、素直に言いなりになって、
毎日ちゃんと、まるきり反対方向なのに彼女を家まで送っていった。

だけどメリハンが田部くんを持ち上げれば持ち上げるほど、
自分で自分の首をしめていくことになっていった。
当然田部くんはどんどん目立つようになり、どんどんファンができ、
自分でそう仕向けながらも、嫉妬でがんじがらめになっていくメリハン。
田部くんはメリハンしか見てないのに、
常に自分に酔う傾向に大いにあるメリハンは、
毎回彼に無茶を言い、傷つけ、放り出し、別れると騒いだ。
そして、彼が必ず、すぐに「嫌だ!」と追いかけてきてくれなければ、
彼女は何日でも田部くんを無視して困らせる。
かといって、夜中に突然「今すぐ逢いたい」を連発し、
田部くんは親の目を盗んで逢いにきて、
それをメリハンの父親に見られてどつかれて、
そして家に帰れば両親に見つかって、また学校へ押しかけられて、
ほんとに、そんなことの繰り返しで、
私のほうにも泣いたりのろけたりの電話はあったけれど、
彼女はすっかり恋の駆け引きに夢中になっていたため、
私への連絡はとても少なくなっていった。
基本家でもずっと何時間も田部くんと話していたいメリハンだったから、
電話もほとんどかかってこなくなった。
ただ、何回かは私に、何時にかけてこいと命令してきて、
なんだろうと思いつつ言われた時間にかけると、
メリハンは相手に「キャッチが入った」と言って私の電話に出て、
「そろそろトイレ行きたいし、向こうの電話切りたかったとこやねん」
と言い、トイレ休憩で切るダシに使われていたことを知った。
それくらい何時間も、彼女たちは電話をしていたようだった。

田部くんは、そんな彼女の洗礼に揉まれ、どんどん垢抜けていき、
彼女の誕生日に、中学1年生の坊主のくせしてテスティモの新色を
箱にリボンをかけてプレゼントするというレベルにまで達していた。
もうそれを化粧品カウンターで買って
包装までおねえさんにお願いする田部くんを想像するだけで
ふたりを見守る私たちが泣けてくるような成長だった。
(彼いわく、何度も暗黙の指定があったらしいんだけども)
だけど、その口紅も、実に彼女らしい理由とやりかたで、
田部くんを傷つける道具となった。
メリハンはちょうど喧嘩しているつもりだったためか、
彼の前でとても機嫌が悪くふるまい、
そしてせっかく彼が勇気を出して買ってきてくれただろう
そのピカピカの箱を破り捨てた。
そして中身を確認すると、すぐにその新色リップで、
メリハンは彼の目の前で、窓ガラスに大きく「大キライ」と書いた。
ぽーんと投げられた、折れて命を終えた新色リップ。
それは一瞬の出来事だった。

その詰るように引かれたモーブ色の「大キライ」を、
田部くんは唖然とした顔で見呆けていた。
彼は、なりはモデル君でも、心はただの少年だ。
ずっと小学校から同じクラスだった私は、それを痛いほど知っていた。
今、彼は多分、すべての思考が停止しているだろう。
もう、これは無理かもしれない。ひょっとしたら神経を病むかもしれない。

そんな修羅場になんの因果でたまたま遭遇してしまったのか・・と頭を抱えつつ、
私はメリハンからそのリップをとりあげて、
「もう、せっかくの新色なのに!」
と、まとはずれなことを言って、さらに沈黙を生んだ。
そして、音がしたな と思ったら、
田部くんは、とうとうボロボロと涙をこぼして泣いていた。
そして初めて彼は、メリハンを置いて、ひとりで家に帰っていった。
その猫背な背中に漂う哀愁はものすごくて、
ああ、もう、モデルが泣いちゃった、またメリハンの受け皿がなくなっちゃった・・・
みんなどれだけ残念に思っていたことか。
とりわけ私は、この後自分にかかってくる荒れる彼女を想像して、
とっても暗い気持ちだった。何百回と中島みゆきの悪女を弾かされるんだろうなと。
メリハンは多分、そんな口紅でメッセージを書くシーンかなにかを
テレビか漫画でみたのだ。
それで、喧嘩のついでに相手を困らせたくて、
同じようにやってみたかっただけなのだ。
メリハンは加減を知らないし、
元々相手を思いやって行動するということには興味がない。
嘘をつくのも、笑顔を見せるのも、
自分のためであって、他者のためではない。
だけど、相手はこの間まで小学生だったガキなのであって、
そんな彼に、彼女が満足できるわけがない。

「よし、もう二度と同級生とは付き合わないようにさせよう」

私はこの時、学んだ。
もうこれ以上、不憫な男子中学生を犠牲にしないようにしよう。。
メリハンには年上限定の彼氏をすすめよう。
だいたい、絶対に最後まで「させない」と公言しているかぎり、
いくらつきあっても手に入るのは、せいぜいキスくらいで、
他にゆるそうな女子がいくらでも田部くんにはできるだろう。

メリハンの、自分にふさわしい外見と忠実のみを求める交際は、
無理があった。もうね、かわいそすぎた、
私もちょっと見て見ぬふりしてたことを反省した。
結局のところ、メリハンはわがままで女王でいたかっただけなのだ。
子供に彼女の相手は無理なのだ。

だけど、そう諦めた周囲の私たちの予想をくつがえし、
次の日に田部くんが私のところにやってきて言ったことは、驚愕ものだった。

「これ・・・また同じの買ってきたから、渡しておいてくれる?」

俺の顔はまだ見たくないんだろうから・・・そう言って、
まったく同じテスティモの箱を私に渡してきた。

「ええっ、まだ懲りてないの?!」

つい本音をもらした私に、恥ずかしそうに田部くんは言った。

「昨日、ごめんって電話をもらったから・・・」

そうなのだ、あの後私が「とにかく謝れ」と言っても、
ツンツンしてまるで取り合わなかったメリハンが、
実はそのあと私に怒られたと言って、
「もったいないことしてごめん・・」
と、謝るポイントがちょっと違うゾというような、謝罪をしたという。
そして、お昼休みに買いに走ってきたそうな箱。
私の予想では、メリハンは多分カネボウのおねえさんが
田部くんに会って喋ったってだけで妬いてやったことだと思うので、
さらにこれは喧嘩の火種になるだろうなあとわかっていたのだけれど、
一応口紅を受け取って、「ありがとう」と何度も礼を言った。
別に私が礼を言うことではないのに、ぺこぺこしてあまつさえ
「色々ごめんね」と謝っていた。
その日メリハンは私の予想どうり、
またしても私の目の前で、鏡台の鏡にリップを押し付け、
結局ぐっちゃぐちゃにして怒りをはらしていたんだけれども、
私は
「あんたがカネボウへ行くように仕向けながら、やきもちやくってどうなの」
とため息をつきながら、そのリップをブラシで使えるように、
小さい容器につめなおしてあげた。
あとしばらくは、この思っていたより根性のありそうな田部くんに、
メリハンをまかせていたかった。
私には、その頃、ピアノの発表会と、英語の弁論大会がせまっていたのだ。







つづく








  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     










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テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

おもいで(10)

後悔



下記には差別ととられかねない表現があります。
当時の記憶そのままに書いていますので、
現代では受け入れられない単語が出てくる場合もあります。
気になる方は、ここでお引取りくださいませ。

本当は、最初は(9)につなげてアップしていたのですが、
ここは別々にしたほうがいいなと思った文章なので、
(10)としてわけさせていただきました。
あんまりコメントがないので、多分、
このお話にすごくうんざりされているのではと思っているのですが、
ちょうど折り返しくらい・・・かな・・・という気はしています。
途中からでわけわかんない場合は、カテゴリーの一番下の
「恋する思い出」というところをクリックしていただければ、
全文出てきます。

では つづきです。













「お前もチョンコーか?」



彼女たちの言う、チョンコーというのは、
「朝鮮人か?」ではなく、「朝鮮高校行きか?」という意味だった。
狂犬先輩は、全然学校に来ていないようだったけれど、
「あのひとは朝鮮高校へ行くことが決まってて、すでに敵が動いてる」
といつだったかメリハンが話してくれた。
どうして、それが敵を増やすことになるのか、
そんな「花のあすか組」のような世界がほんとうにあるのかと、
私は半信半疑だったのだけれど、
それよりも、「朝鮮高校」というものがあることを、
初めて私は知って驚いていた。
そして、このメリハンも、狂犬先輩が望むように、
その高校に入るんだろうなと、漠然と感じていた。
だけど、私はそのとき、
朝鮮高校が、朝鮮籍を持つ子供たちが入るための高校だとは知らなかった。
朝鮮国が出資する、高校のひとつだと思っていて、
どうも学校に行ってない先輩でも入れるぐらいなのだから、
相当不良が多い高校なのではないかと感じていた。
だから、このままメリハンといて、
自分もそうなったらどうしよう、一緒に入学しようと言われて、
毎日こうだったらどうしよう、
そんなふうに、誤解して悩んでいた。
私は無知で、わがままで、どこまでも傲慢なお嬢ちゃんだった。
メリハンを止められないのに、手をつなぐことも離すことも、
本当の意味でできていなかった。
自分の保身、自分の将来、自分自分自分、全部自分のこと。
そうして、
わけのわからない後悔でいっぱいで、
メリハンから
もう逃げたい気持ちでいっぱいになっていた。










  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     










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本当の意味を知らずに、そう、ずっと知らずに

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

おもいで(9)

全裸事件



つづきです。
差別用語にとられかねない単語が出てきます。
気になる方は、読まないことをおすすめします。






私たちが中学1年生のとき、メリハンはすでに卒業した兄の傘を着て
校内を締めていた。
そのなかに、たったひとり、
メリハンでさえ、「狂犬」と呼んで一目置いている女子の先輩がいた。
その先輩は、ほとんど学校に来なかったので、
本物を見たのは数回しかないのだけれど、
メリハンの家で鉢合わせして、初めて彼女を見たときは本当に驚いた。
140センチくらいしかない、小柄で華奢で、牛乳眼鏡のオカッパ。
まるでちびまるこちゃんのような普通に子供に見えたひと。
ただひとつ、髪がこれ以上脱色しようがないってほど、
色素がなかったのをのぞいて。


見ればすぐに「グレてます」とわかるようなヤンキーには、
どこかで慣れてきていた私も、
その先輩の雰囲気には、底知れない恐怖がわくのを抑えられなかった。
私はその先輩が、なぜかとても怖くて、
原付のバイクでメリハンと二人乗りしているのを見ては、
声をかけられないように、存在を消した。
知らないふりをして、避けていた。

だけど、あの日はなぜだろう。
その先輩とメリハンと私は、
有名デパート前の大きな交差点を渡っていた。
彼女たちと歩くということがどういうことになるのかなんて思いもかけず、
ただただ、ど金髪で妖精みたいな先輩と、
幼さの残る顔で、高級ブティックのボディコンを着る少女、
どこから見ても、ダサい中学の制服の私という取り合わせに、
「目立つなあ・・・」とうんざりしながら、
どうか誰にも見つかりませんように と、祈りながら歩いていた。


そんなこそこそしている私にも気づかないほどご機嫌だったメリハンに、
突如誰かが、
「お前○中のやつやろ?」
いきなり声をかけてきた。
振り返れば、同じようにまともな学生には見えない女子がふたり。

それからのことは、なぜ起こったのかわからない。
はじめは顔見知りだったのか、仲良く話しているようにも見えたのに、
気がつけば、小さくて細い路地に移動して、
殴る蹴るの喧嘩が始まっていた。
私に向かって投げられたひとことは、はっきりと覚えている、それは、

「お前もチョンコーか?」

知らない私を見て、彼女たちがぶしつけに聞いてきたこと。
そのとき私は、無意識に頭を大きく横にふった。
メリハンと、先輩の前で、
「まさか 私が?何言ってるの?」
そんなはずないでしょうと、言わんばかりに。

そのあと見た光景は、
どこか別世界のことのようだった。
相手側の少女たちの威勢の良い咆哮も、喧嘩慣れしているような声も、
まるでドラマのワンシーンのようだった。
あとで考えても、何が原因だったのかはわからなかった。
彼女たちの言いあっている言葉は、
不良なまりがすごくて、早口で聞き取れなかった。
だから私は、ただ呆然と、
あっというまに始まってしまった騒動を、呆然と見ていた。
ただメリハンが私のことなど完全に忘れて、
そして完全に切れていくのを感じて、
ああ、まただ・・・
そう、確信して。

メリハンは、いつもおしゃべりで短気で、攻撃的な性格ではあったけれど、
他の誰とも違うのは、本当にキレた時、
彼女はどんどん感情が冷めていくようだった。
そして、無言で相手に向かっていくため、恐怖を感じる。
その目になにが見えているのかわからないくらいに、
その冷たい顔は、普段の彼女からは想像できないほど感情がそげおち、
まわりをぞっとさせるものだった。

けれど私は、その表情のメリハンに遭遇するたび、
「ああ、やっと本当のメリハンに逢えた」
そんな気がして、そのときも、
どこかいっそ懐かしいくらいの万感で、彼女の顔を見ていた。
誰かが、犠牲になっているのに、
泣き叫んでいるのに、
助けを呼ぶこともできずに、ごめんなさいと謝る声が聞こえているのに、
私は助けることなどできず、ふたりを止めることなどできず、
メリハンがはじめた物事を終わらせるのを、
最後までただ見ていることしかできなかった。


そして、勝負は意外に早くついた。
先輩は、相手の髪をつかんでふりまわして、何本も髪を抜いていた。
そして顔をねらって殴っていた。、
女の喧嘩ってこうすればいいんだ、などと、
レクチャーもかますほどの余裕で。

そうしてそのあと、メリハンとその先輩がしたことは、
私にはにわかに信じられないことだった。
先輩は、いきなり鞄から豆電球をいくつも取り出して、
後ろから相手の女の子の口に放り込んでその口を手のひらで押さえた。
騒げば、割れる、暴れても、割れるかもしれない。
もしかしたら、一個くらい飲み込んじゃうかもしれない。
「割れっでー、血だらけなんでー」
おもしろそうにくすくす笑って押さえ込む先輩は、
やっぱり一見かわいらしい子供のようで、
それが私や彼女たちの恐怖を倍増させた。
すると、もうひとりを泥々の水溜りに転がして蹴っていたメリハンは、
それを見せ付けられていた電球をいれたままの少女に向かってきて、
その子の服を、無言で荒々しく剥き始めた。
少女は電球が割れてもいいと諦めたのかと思うほど、
じたばたともがいて抵抗していたけれど、
結局下着まで全部脱がされて全裸にされた。
そして、先輩に路地から連れ出されて、横断歩道に引きずられていった。
京都で一番ひとが通る横断歩道のなかへ、
沢山のひとの通る前へ、ポンって。


せめて下着は残しておいてあげるんだろうと思っていたから、
容赦なく全裸に剥かれた少女を見たときは、心臓が止まりそうになった。

だけど、ふたりはまるで平気で、いつもどうりの手順のようで、
私の心配なんか、なにひとつ共感できないようだった。

そして何事もなかったかのように、先輩はふりかえって言った。
「ほんまやったら、下に入れて遊ぶんやけど」
どこに、入れるかは聞くまでもなかった。
「お前らみたいなブスはボコに決まってるから、やめといたるわ」
そうせせら笑って、もうひとりの少女も引きずっていった。

そして全裸の少女のうえに、その子を服と一緒にほうり投げて、
「一応逃げとく?」と私を見てめんどくさそうに聞いた。
メリハンはすぐにいつものご機嫌さんに戻って、
自分の服をなおすのに気をとられながら、
何事もなかったかのように「ばいばーい♪」と彼女たちに手を振った。

私は自分が制服を着ていることにショックをうけた。
このままでは自分の素性がばれてしまう。
喧嘩とはいえ、警察に見つかれば捜索されるだろう。
相手がメリハンの名前を言えば、逃げられないだろう。
私は、自分の足場がガラガラと崩れていく様子に、泣きたいほど怖くなった。

そんな私のきもちをメリハンは察したのだろう。

「どうせあんたも私らと同じやと思われてるから大丈夫やって」

「捕まっても、いつものことやって帰されるから、な?」という笑顔とは対照的に、
私の顔面は凍り付いていたんだろうと思う。

その時、私の心のなかは、絶叫していた。

「私はこのひとたちと同じじゃない!」




はじめから、違っているのだと知っていた。
本当は、わかりあえないことも嫌というほど知っていた。
彼女の望む、本当のすべてを、わかちあえないことも知っていた。
彼女と友達だといいながら、
自分が不良少女だと思われること、在日朝鮮人だと思われること、
道をはずしているとレッテルを貼られていること、
そのすべてに、本当は全身で拒絶していたこと。軽蔑していたこと。
ねえ、メリハン、

私は、きっと、
あなたを差別していたんだね。
ずっと心のどこかで、
あなたを傷つけていたんだね。
そんな私が、大好きで大嫌いだったんだね。
だから、
また私に、復讐したんでしょう?



つづく






  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     








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ひどい話ですよね、ほんとすみません

テーマ : いま想うこと
ジャンル : 日記

「おもいで」番外編(1)

エジプトで、もがいていた頃、
留学後も、ツアーガイドをしながらブラブラと滞在していた私に、
馴染みの教授から何人かが短気留学で行くから
ビザと住むところの手配を助けてやってくれと連絡があった。
当日、大きな広場で待ち合わせて、出会った若い集団は、
初めて見るナイル川の雄大さに目を輝かせていたけど、
そのなかにひとりだけ、堅い表情の男子学生がいた。
なんだか私にすがるような、申し訳ないような顔をしていた彼を気にしつつ、
書類を集めてようやく、その理由がわかった。
1枚だけ、色も形も違うパスポート。
どう見ても日本人の学生の一員に見えた彼は、
韓国のパスポートを持つ在日韓国人というアイデンティティを持っていた。

教授が難しくもない種類のビザの手配を私に頼んだのは、
彼がいるためだったのだろう。
日本語しか話せず、かといって英語も話せない彼にかわって、
私は突如、韓国大使館へ行かなければいけなくなった。
私は韓国語はまるきり話せない、ましてや現地に韓国人の友人もいない。
「英語とアラビア語で通じればいいけど・・・」
そんな不安を持ちながら、彼を連れていった。
エジプト人のセキュリティを通ったあと、韓国人の事務員と話すときになって、
じっと話を聞いていた大使館員の彼女が、
「で、どうして張本人の彼がしゃべらないの?」
と隣の彼に突然聞いた。
そのときの、彼女の声の強さに息を呑んだのは私だけではなかった。
思わず隣にいる彼を見ると、
一番突かれたくないところをいきなり鷲掴みにされたような顔があり、
それはとても悲痛な表情で、私はすぐに見てしまったことを後悔した。
彼は、あ、とか、う、とか一応なにか声は出たのだけれど、
結局、最後までひとことも喋ることができなかった。

あの大使館員の、本当に問いたかったことは、私にもよくわかってた。
韓国籍なのになぜ韓国語で君が話さないのかということではなく、
どんなたどたどしい英語でも、ジェスチャーでも、

「どうして君が説明しないの?」

彼自身がぶつかっていかなければいけなかった。
代理に、私のような日本人を立てるのではなく、
それが、韓国大使館の韓国人への愛情からくる怒りだろうと感じた。
彼女が言いたかったことは、「そんなんでいいの?」と問うまなざしは、
外国の地に立つまっとうな国民として、彼に覚悟を聞きたかったのだろう。
まるで書類や、国籍を借りるだけの行為にとらえているような、
そんな彼の「しょうがないから」的な雰囲気を、私も彼女も気づいてた。
だけど、あのときの彼に、
それを返せるだけのなにかはまだ生まれていなかったのだと思う。
韓国語で話しかけらることを、なにより恐れてうつくむ彼に、
まだ、なんとかこの時間をやり過ごしたいという以外なにもないような彼に、
私にできることをするしかなかった。


そのあと、なんとかわけを話して、書類を発行してもらったけれど、
彼の落ち込みようは激しく、私の慰めも耳にはいらないようだった。
アパートを探す時でも彼だけはKOREAですと説明しなければいけなくて、
そのたびに「ノース?サウス?」と聞かれ、やりとりが続いた。
またフライトの当日になって初めて聞かされたという他の学生たちも、
いまだ戸惑いを隠せない様子で、彼を腫れ物扱いしていたため、
そのことがさらに、彼のなかのなにかを引っ掻き続けていた。
だけど当時、現地で語学で苦しんでいた私にしてみれば、
母国語がふたつ持てる可能性があるというだけで彼が羨ましく。


「君はいいよねー、羨ましい。
 アイデンティティが二個あるって、貴重じゃない?」

「これから勉強して韓国語も話せるようになればいいじゃん」

「日本じゃ差別されたりするかもしれないけど、
 外国じゃ君はただのハーフだし、有利なことのほうが多いよー」


なんて能天気で、無責任な言葉だろうと今でも思う。
外国にいたから、言えたというわけではない。
私にはメリハンのような在日の友人はとても多く、
彼女たちに話すことと同じことを言っていただけ。
そして無事ビザが取れたときには、調子に乗っていたのか、
過去と未来に渡って、彼の帰化について聞いてしまった。
すると彼は、「親に悪くて・・・」とだけつぶやくように言った。
私は彼を、ただ抱き締めてあげたかった。

何も変わらないのに。ただ、日本語を話して日本の歌を聴いて、
日本の授業を受けて、日本で育って。
両親をちゃんと敬って、そこに母国への愛情と誇りが重なって、
だけど普通の子ならしなくていい苦労が、受けなくていい言葉が、
彼らには無条件にあびせられる現実。
隣で、日本から持ってきたTVゲームを接続しようとはしゃぐ学生たちと、
彼との違いはなんなんだろう、なぜ彼は韓国語ではなく、
アラビア語を日本語の次に話す言語として選んだんだろう。
いろんなことを、考えた。そんな、暑い暑い、あの日々。


私が今さら書いていることは、見る人によって、差別と感じたり擁護と感じたり、
きっと受け止め方は違うだろうと思う。
フィギュアのことをちょろっと記事に書いたら、
両国のファンからバカ死ねと書かれるように、同じだけありがとうを書かれるように、
受ける側によって、受け止め方はさまざまで、
それをいちいち見越して書く事は私の力量では申し訳ないけどできない。
私は私のありったけの愛で、過去にメリハンという友人を愛したし、
彼女の歌うアリランを耳でリピートさせて生きてきた。
だから誰かに「ここは差別だよ」と言われるような表現が
もしかしたら出てくるかもしれないけど、
私はそのような気持ちをこめて、今これを書いていないとはっきり言っておきたい。
たとえ、メリハンがとんでもない少女と書いてあっても、
それは事実だし、そこが魅力だし、
だけど、そのルーツが在日朝鮮人だからではない。
むしろ彼女はそのなかでも浮くほどの、
誰にも手がつけられない少女だった。それは彼女の所以、彼女のルーツであって、
メリハンはメリハンの美学で生きていた。
民族の性質や、そういったものを引き継いでいると言っているわけではない。
本当にそうなら、きっと彼女のことを書きはしなかった。

だけど、受け止め方は違うから、私は彼らと同じ人間ではないから。
どこで傷つけ、どこでお怒りを買うかは、正直まだわからないと思ってること。
そして、差別反対だとか、そういうメッセージはなにもこめてはいないということ。
私にそんな大それたことが、書けるはずもなく。
私はただ、自分の胸にしまっておいた思い出を、書きたかっただけ。
ただ、それを、今書いておかなきゃと思っただけ。
わかって欲しいなどとは、恐れ多くて言えないけれど、
もしも理解してくださるなら、ほんとうにほんとうに嬉しい。
思い出は、このあと、私の過去が出てきて、
本当はメリハンどころじゃ多分なくなっていってしまう。
もっとひどくなる、と思う。
だけど、そこまでいくのに、彼女が素敵すぎて、
どうしても、長くかかってしまった。
青春の、きらめきが色褪せないように、
どうか、最後まで書きたいように、書かせていただけたらと思う。
もしここに、在日の方がいらっしゃっていて、
不愉快な思いをされることがもしもあったとしても、
どうか、許してほしいと思う。けして、深読みしないでほしいと思う。
私の友たちへの思いを素直な気持ちを、どうか許してください。












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彼は今頃、きっとそんなことも忘れて元気に

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

おもいで(8)

彼女の正体



名前を、この『おもいで』というのではなく、
なにか他のもうちょっと気のきいたものに
おきかえたいなあと思っていたのですが、
全然浮かびません。
まあ、一番書きたいラストのところを書くことができたら、
きっと、浮かんでくるかな。
それまでは、『おもいで』のままで。
では、つづきです。







「Ⅿが歌いたい。ピアノ弾いて」



   ◇   ◇   ◇



いつだったか彼女は、
将来は歌手になりたいと言った。
私はすぐに「ああなるほど、チョー・ヨンピルみたいな」と言い、
「せめて桂銀淑もってこいや!」と怒られた。
だけど、本当に彼女がなりたかったのは、
歌謡曲や演歌歌手ではなくて、シンガーソングライター。
中島みゆきのような歌手だったのだと思う。
そのたびに、タバコをやめると言っては1時間と続かず、
捨てろと言われて捨てると、後で「拾てこい」とまた怒られた。
彼女の言動はいつも支離滅裂で巻き込み事故多発。
だけど、人前でも堂々と歌い出す純粋さは、
なぜかとても尊かった。



その頃、プリンセスプリンセスと、
ユーミンのナンバーを歌うのがお気に入りの彼女に、
何度つきあわされて伴奏を弾いたことだろう。
そのため、楽器店に足を運ぶたび、
流行のポップスの楽譜も必ずチェックして、
ひそかに弾きながらハモって歌う練習さえしていた。
それを内緒にして、サビの部分で、
彼女の歌にそえるようにそっとハーモニーをいれてあげると、
自分の声の、突然増した奥行きに目を輝かせ、
「あんた最高!」
と、頬よせてくれた彼女。
平凡な中学生活に、それほど手放しで、
誰かに「最高!」と抱きついてもらえることがあるだろうか。
私はただただ、彼女を存分に甘やかしていた。
家来と言われても、彼女のためにピアノを弾くことは私の仕事だった。


だけど自分の部活の時間を、邪魔されることだけは気にくわなかった。
喩えそれが、先輩たちに疎まれて陰口を叩かれて、
音楽室で浮きまくっている私への気遣いだったとしても、
私は彼女に怒りを覚える自分を、抑えられなかった。
もちろん、部外者の乱入は、顧問の先生の眉をひそめさせるに充分で、
その先生は自分が彼女の「深い友達」であることを、
最も知られたくない人物だった。
だから私はいつだって、
「出てって」とはっきり言葉を投げた。
泣く子も黙ると言われたメリハンを、うっとうしげに拒否し続けた。
メリハンは怒って音楽室のドアを破れるほどに叩き締める時もあれば、
しょぼんと肩を落として、帰っていくときもあった。
彼女のそのときそのときの心情を、思いやれない私ではなかったけれど、
私には休憩時間に本気で休む余裕などなかったし、
これ以上目立ちたくはなかった。
怒らせても、帰りに家に寄って様子をうかがいに行けば、
「おかえりー♪」とすでにすっかり機嫌をなおしていることが多く、
私はそれほどメリハンを怒らせることを、気にしていなかった。


だから、そんなやりとりが続いて、なんとかコンクールにも出て、
それなりの成績で、3年生とバイバイできた頃、
私とメリハンは腐れ縁のようになっていて、
お互い気をつかわないでいられる、いい関係が築けてたつもりだった。
だから自分がだんだん周囲からマークされていることに気づいていても、
友人が私に「家じゃたばこ吸ってるってほんと?」って聞いてきた時も、
私はただくすくす笑ってた、そんなお金ないよー、家でもふつうだよーって。
でも一番多かった質問は、「彼女ってどんな人?」。
みんなメリハンには興味があった、だけど怖くて近づけなくなっていた。
「お父さんがヤクザで、お母さんがやとわれママで、お兄さんが少年院・・」
うん、その噂は全部あってる、正解、だけど、
「暴走族の頭とつきあってて、ヤクザのパトロンがいっぱいいるんでしょ?」
ううん、それは違う。なんだかなー、みんなそう信じてたなー。
メリハンはそんな彼女いわく「ダサイ」男とは付き合わない女だった。
もっと、思いもかけないひとを好きになる、
それが彼女の美学だった。


2学期が始まると、メリハンは
私をもっとそばに置きたいという気持ちを
どんどんぶつけてくるようになった。
私が彼女よりも、
常に部活動を優先させることが気にいらなかったんだと思う。

「彼氏のほうが大事なん?」

音楽だの進路だのを、彼女に説明したことは一度もなかったためか、
メリハンは私の吹奏楽にかける情熱は、
交際している先輩のためだとしか、つなげられないようだった。
「こいつは親友より男を取る女や!」
そんなことを、空に向かって大声で叫ばれていたっけ。
だから、そんな彼女を落ち着かせるために、
オフの日は積極的に彼女と町を出歩いた。
当時、メリハンは中学1年生にして、
いつ見つけたのか高級ブティックの男性店員に片想いしていた。
そんな出会いすら、田舎の中学生の私には想像もできなかったけれど、
実際18歳だとサバ読んでる彼女は底抜けに可愛くて、
その男性にアプローチするために、
どうでもいい服や小物を選ぶ彼女につきあって、
よく市内まで出かけたものだった。
その時ばかりは制服を着るわけにはいかないので、
従姉妹に服を借りていったっけ。

彼女はいつだって、お財布に何万円も持っていて、
金の出所を聞くのが怖かった私はなにも聞かなかったけど、
一生懸命貯めてる様子も、噂のように売春している様子もなくて、
多分親の財布から盗んでいたのだろうと見当をつけていた。
私にはこそっとその店員さんが
「本当は中学生でしょ?」
と聞いてきたことがあったので、
全く相手にはされていないんだろうな、とは思っていたんだけど、
いつだったか、結局デートまでこぎつけたと言っていたので、
彼女の作戦勝ちというか、ガッツはすごいな なんて感心してた。

だけど、あれはたぶん、そのひとが、
「彼女がいる」と答えた日のことだったと思う。
突然あの、残酷なメリハンが姿をあらわした。
目にやきつくのは、白い肌のうずくまるそれ。
汚い路地、水びたしの地面。
どこまでも冷めた表情で服を剥くメリハンの姿。
今度もまた、私はその顔を、ぼんやりと眺めていることしかできなかった。



「彼女ってどんなひと?」



友人たちの、好奇心いっぱいの声が聞こえた。

彼女は

彼女はとても───




つづく










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よく捕まらなかったなあと不思議

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

おもいで(7)

いじめと逆襲


少し季節はさかのぼって、
私がメリハンと仲を戻す前の、
入学してからのクラブ活動の思い出が絡んできます。
ごめんなさい、嫌な私が出てきます、ほんと、絶対嫌われると思う・・・。







中学生になった私の目標は、
府内にある音楽科の高校にすすむことだった。
そのために2歳からピアノを弾いていた私は、
どんなに貧乏になっていっても母はそれだけは工面してくれて、
ピアノと作曲と水泳の習い事を続けていた。
だから、部活動も、本当はちゃんとした
声楽の学べる合唱部にはいりたがったのだけれど、
校歌を歌うだけの同好会のような有様だったので、
それならと、府内でも強豪だった吹奏楽部にはいることにした。
内申書に顧問の先生の推薦が必要だったから、
なんとしても音楽のできるところを選ばなければいけなかった。
ちょうどその吹奏楽部の指揮を執る顧問の先生は、
ソロコンサートも開いているような有名な音楽家であり、
指導する吹奏楽部も、田舎の中学にしてはレベルの高い、
全国を狙える成績だった。
私はそこで良い成績をおさめて、
あわよくば小さいソロコンクールに出場するなどして経験を積みたかったし、
そのために入部した初日からどの新入部員よりもまじめに取り組んでいた。

だけど、中学から楽譜を覚えたような先輩たちと、
ずっと楽譜を自分で書いてきた自分とは、やはりどこかでスピードが違った。
私は新入生のなかで一番早く、木管のクラリネットが吹けるようになり、
そんなに苦もなく、金管も鳴らせられるようになった。
だけど吹奏楽って、ほとんど女で構成されてるでしょ。
周りから見てどんなにすがすがしく、さわやかな世界でも、
内情は、毒舌と悪口にまみれたとても意地悪な世界。
当時の私の入部したクラブはそのような場所だった。
私はそこで、完全に先輩方の機嫌を損ねる存在になってしまってた。
というか、不安だったんだと思う。
強豪なためにあふれるようにいる部員たち。
そのなかで夏のコンクールに出れるのは50人までって制限がある。
だからずっと補欠できて、
3年目にしてようやく出れると確信していた先輩達を、
突然新入生が追い抜いちゃうわけですからね。
それはとっても、認められないことだったと思う。
だから6月になって突然、
クラリネット部門からメンバーの少ないサックスにまわれと言われてしまって。
指使いだって一から違う、口の形だって、音階だって、すべて違う。
それをまた、夏を直前にして一からやれと言われる理不尽さ。

「あなたならすぐに吹けるわよ」

そういった、クラリネットリーダーの愛想笑いを、私は良く覚えてる。

だけどサックスって、オーケストラにほとんど出てこない現代楽器。
私の求める「オーケストラで使えるなにか」とは、
あまりにも遠すぎる楽器。
この楽器に3年かけたところで、自分が目指す音楽科コースから、
大きくはずれていくだけのような気がした。
だからもう、本心は嫌で嫌でしょうがなかった。
先輩たちは私の入部の動機も知ってて、
そのうえで転向させたとしか思えなかった、悔しかった、憎みそうになった。
だから金色のサックスを手にしたときに、
他の人なら多少わくわくするだろうその瞬間に、
私ははみじめで泣きたい気分だった。
もうクラブを辞めたい気持ちでいっぱいだった。

ジャズがやりたいわけじゃないし、チェッカーズが吹きたいわけでもないし、
なんで私がこんな楽器を?そう思えて退部を真剣に考えた。
だけど、あれこれ迷っていても、毎日練習はやってくる。
そのたびに自己嫌悪ですよ。吹きたくない、行きたくない。
吹奏楽じゃ、吹いてる姿がかたむかないように、
鏡の前でね、自分を見ながら練習するっていうメニューがあるんだけど、
ああもう私、この楽器超に合ってないな とか、
これをメリハンみたいな美人が吹いてたらがすごく似合うんだろうなとか、
そんなことばっかり考えて、まともに見る事ができなかった。

だけど、やっぱり誰よりも朝早く音楽室について、
昼休みでさえ、練習しにいってたくらいだから、
誰かから遅れをとるっていうのが、
基本的に許せない性格だったんだろうと思う。

そして、そのうち難なくふけるようになって、
ひとりで「チュニジアの夜」まで吹けるようなフェイクも覚えた。
だって多分人一倍練習してた。
口が疲れて痛くなっても、指が腱鞘炎起こしても、
ピアノの時間をけずって、夜は山を登って外で吹いてた。
結局私は、一度入り込んだ生活を投げ出す勇気もない、
くそまじめな生徒だったんだろうと思う。

でも今度は先輩を堂々と追い抜かすような真似はしなくて、
サックスのコンクールメンバーは2・3年生が選ばれるように、
どうでも良いところでミスをしたり、
派手に音をはずしたりして、駄目な後輩を演じた。
先輩たちになんとか気に入られるようにしむけた。
おどけて、冗談言って、一生懸命ごまをすってる自分がいた。
そのとき、自分がね、なんていうか、
ああ、策略家の素質があんじゃないの?みたいな、
そんな予感はあったんだけど、
もう違う楽器にまわされるのも、
わけのわからない女のドロドロに巻き込まれるのもごめんだった。
メリハンのこともあったから、とにかく目立たないようにしようとしていた。

だけど結局のところ、顧問の先生の目はごまかせなくて、
2年生の先輩を差し置いて私はメンバーに選ばれてしまって、
上級生にひとりまじって、夏のコンクールへ向けて練習するはめになった。
結果、1年生からはねたまれたし、疎外された。
上級生からは無視された。
ちょっとしたミスに、明らかに冷たい視線と大げさなため息が漏れて、
「こんな子がなんで・・・」と、クラブ会議にもかけられた。
結局のところ、いじめられていたのだと思う。
だけど私はといえば、最下級生なもので、
意見をするもなにも、何ひとつ刃向かえないわけだけれど、
そういうときの女の団結って、すごいね なんて、
ちょっと遠くから感心してた節があったくらいで。

だけど音はひっきりなしに鳴っている音楽室で、
孤立化していくことが、なにひとつ辛く感じなかった。
むしろ清清しい程、その孤独がありがたかった。
集中できた、音の世界に誰よりも入りこめた。
私はその時に、ようやくサックスを好きになってきている自分を感じたし、
集団というものがつくづく向いてない自分には、
合っているかもしれないと思い始めてきた。
うまくやろうとして、結局やれなかった。
だけど、傷ついたふりをして、ただ気をつかってぺこぺこしておきながら、
心のどこかで、反撃を開始していたのだと思う。
私はそのうちに、先輩たちに一矢をむくいた。
私は、圧倒的に女が多いクラブで貴重な存在の男子部員の3年生で、
いわゆる校内でも人気のある先輩と、交際するようになった。
特に好きだったわけでもない、
周りが騒ぐほど特に憧れていたわけでもない。
ただ、その私をはずしたクラリネットのリーダーが、
彼を好きなことを見抜いていただけだったと思う。

特に苦労して告白したわけではない。
ただ朝一番に音楽室にはいる私と二番目にはいる先輩が、
いつもふたりで窓からふりそそぐ太陽をあびていたら
いつしかそうなっていただけのこと。
多分お互いを少し綺麗に見せる力が、朝日にはあるんだなと思った。
吹奏楽部でなにをしたらその相手と特別になれるのか、
私はなんとなくはじめからわかっていたのだと思う。
先輩が吹いてすぐのまだ唾液で濡れた楽器を、
間違ったふりしてすぐに吹けばよかった。
そして、「先輩もこっち吹いてくださいね?」
無邪気に笑って渡せばよかった。
他人の唾液の味なんて、なんていうことはなかった楽器生活のなか、
いつしか先輩が吹いたマウスピースを夜に渡され、
一晩持って帰って抱いて寝る間柄で、私は孤独でなくなることができた。
ようやく味方をつくることができたのだった。

おかげで先輩はいつもかばってくれたし、
男子グループと一緒に行動するようになって、女たちから逃げれた私は、
ようやく楽しく笑えるようになって、明るくなって、
それがますます嫌われコースを走ることになった。
だけどもう、何も気にしてはいなかった。
この先輩が引退でいなくなっても、
次の二年の先輩を押さえてるつもりだった。
私はそうやって、自分のことを、
どうしたら、うまく生き抜けられるかを図っていた。
憧れの高校の音楽科へ進むための、道しるべとして、
そのクラブでまず一番になって、この窮屈で意地悪な女の園を、
根底から破壊してやろうともくろんでいた。
そしてその計画は、着々とうまくいっているように思えていた。
ただひとつ、頭を悩ませるのは、
夏休みなのに補修で登校している、校内一の派手な不良少女だけ。
メリハンは、合奏練習中はちゃんと邪魔せず待っているのだけれど、
休憩中だとわかると、堂々と入ってきて、
目を剥く先輩方のことも、唖然とする顧問の顔も、私の立場もまったく考えず、
のんびりした声で命令した。

「Mが歌いたい、ピアノ弾いて」




つづく








  「おもいで」

      1話 「転校生」
      2話 「嘘」 
      3話 「彼女の世界」
      4話 「青田さん事件」
      5話 「名前の由来」
      6話 「腐ったみかん」
      7話 「いじめと逆襲」
      8話 「彼女の正体」
      9話 「全裸事件」
     10話 「後悔」
     11話 「田部くん」
     12話 「殺人事件」
     13話 「つかのま」
     14話 「三本の矢」
     15話 「誕生」
     16話 「斑点」
     17話 「寄生」
     18話 「モノクローム」
     19話 「舌」
     20話 「呼び出し」
     21話 「罰」
     22話 「喪失」
     23話 「犬」
     24話 「希望の石」

   番外編(1) 「おねがい」
   番外編(2) 「おわび」
     











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テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

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嫉妬に独占欲、ヤケ食いに失恋、毎日小鳥たちの世界は、恋と友情に満ちている。 テリトリーを超重んじるマメは、隣人がマメ以外でないと我慢できない。他のマメの声が聴こえるのも癪に障り、いらつき吼える→セキセイがまねる→飼い主がおびえる→コニュアが諌める の繰り返し。玉ちゃんは、今日もかっこいい羽衣男子を目の敵にしてる。破壊をテーマに芸術にのめりこむカリブ。絶対「オハヨウ」しか言えないのに「コンニチハ」の練習も割りとまじめに取り組んでしまうアントニオ。事故で死にかけたはずが、逆に病気を克服、元気ぴんぴんのヒップはいくつになっても美少年。大好きなさえちゃんに巣から追い出されて巣穴の前で謝り続けるミケランジェロ。なんかもう見た目に愛がほとばしっているラテンな伊達男、沙門。バナナを見た時だけ擦り寄ってくる次元。みんなみんな、今日も恋の花を咲かせて。
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  • Author:S子
  • ヒト♀

    【飼い主-S子-】
    三十路シングル、ということでウサギと小鳥とその他もろもろに囲まれて独身生活満喫中。朝から夜中までひとりで働くのが好き。日曜だけ完全オフで40坪位の庭の世話に明け暮れ。最近好きなもの やっと使い慣れてきたショップソフト 最近可愛いもの 黄緑の計算機  最近欲しいもの 蓮用の大甕 ずっと好きなもの 小鳥 蓮 薔薇 芍薬 金魚 山藤 孔雀柄の傘 あったかいところ


    同盟バナー猫中動


    ▼▼▼主な主役達▼▼▼

    オカメインコ ♂
    【ウメちゃん】
    ミッキーマーチのイントロが好き。明るくてほがらかな歌声の人気歌手。

    マメルリハ ノーマル♂
    【リュウ】
    脱走・暴行・侵入・つきまとい。前科がありすぎるS家きってのワル。

    オカメインコ♀
    【トプス】
    亡きジュラの娘。おっとりさんで、一途。

    ダップー
    【ブッダ】
    Mダックスとトイプードルのミックス犬。卑猥なおもちゃが好き。ペットとしての自分の立位置が最下層なことに最近気付いている。

    マメルリハ ノーマル♀
    【ペコちゃん】
    目の大きい女の子。沢山のアプローチのなかから小虎君と恋仲になる。

    ネザーランドドワーフ ヒマラヤン♂
    【ホア】
    享年7歳。その日の朝ごはんまで完食した大食漢だった。

    ホオミドリウロコメキシコ♂
    【次元】
    淋しいのは我慢ならないのか、毎日セキセイインコの籠に勝手に入って馴染んでいる。

    ワキコガネウロコメキシコ♂
    【沙門】
    女の子が好き。とにかく好き。みんなの籠を勝手に開けて脱走させるのが日課。

    羽衣セキセイ ダブルファクターホワイト♂
    【チチ】
    超美少年で究極のナルシスト。カクテルのチチから命名。

    タイガープレコ
    【純次】
    一年かそこらで30cmになってしまった、先行き不安なプレコ。いつも適当に生きている。

    羽衣セキセイ イエローフェイスオリーブスパングル♂
    【ノルウェイ】
    キラキラ光る、エメラルドみたいな羽衣の持ち主。剣士のような凛とした性格。

    セキセイ グリーンスパングル
    【ショーコ】
    最初にはまったセキセイ、シュリの娘。顔がそっくり。

    マメルリハ ノーマルファロー♂ブルー♀
    【ロダン&月子】
    わがままお姫様の月子にただただ従う夫、ロダン。

    マメルリハ ノーマル♀
    【リブ】
    一番の女友達。元ヤン。

    ブライアン系大型セキセイ ライトブルースパングル♂
    【ラムセス】
    巨大で精力旺盛。まさに王様。

    マメルリハ アメリカンホワイト♂
    【レイ】
    霊魂のように光るので命名。家庭が命。

    ズグロシロハラインコ♂
    【カリブ】
    破壊をテーマに日々創作活動に励む現代アーティスト。

    ネコガミ
    【バステト様】
    庭を守る、我が家の猫様。

    アメリカンホワイト♀ブルーファロー♂
    【さえちゃん&ミケランジェロ】
    おしどり夫婦。夫は巣にはいれてもらえないので妻さえちゃんのご機嫌を外からいつも伺っている。

    ジュウシマツ♂
    【白能登】
    白内障で目が見えない、我が家の守り神様。


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