うさぎのケージが玄関に近くて、うさぎの臭いがしていた。
でも今日チロを埋葬して家に戻ると
ふわーっとチロの甘い匂いがした。
思わずいつもみたいに
「ただいま」
と言ってしまった。
でもいつも私のその声を聞いた途端に
「チュン!」
と高く啼きだす声は聴こえなかった。
私はチロから少しだけもらった羽を小瓶につめていて
この羽でメモリアルリングかネックレスを作ろうと思った。
そのガラスの小瓶を握り締めながら
どっと泣き疲れたためにものすごい頭痛がする頭に
今日に限ってチロの匂いが残る玄関がショックすぎて
そのままずるずる足がすくんで立てなくなった。
一気に恐怖が押し寄せて、私にチロのいない現実を見せつける。
チロが死んで24時間たっていないのに
もうチロは大原の桜の下で解き放たれてここにはいない。
とても長い長い一日だった。
一睡もせすに涙を流しっぱなしだった私は
頭痛薬とアスピリンをダブルで飲んで
そのままベッドに倒れこんだ。
握り締めた小瓶に強く強く祈った。
「お願い、夢に出てきて」
今までファンタジーなんて信じなかった。
「いま、逢いにいきます」なんて観ても
幽霊ならともかく
死んだ人が現世にやってくるなんてありえないと思った。
でも今ならよくわかる。
死んだ人にもう一度逢いたいと強く願う気持ち。
それが叶った世界に憧れる気持ち。
チロの桜がよく見える対岸に降り立って川の流れに手を浸しながら
「お前は情が深いね」
と彼がいまさらながら深くため息をついた。
生きてくる中で何度も言われた言葉だったけど
普段からそのことを危惧している彼の気持ちが伝わった。
私は自分でもそうだってわかっていて、
だからこそ人に余り近づかないようにしている。
鬱になろうがパニック障害になろうが、
人の手をすがって、振り解かれたら
きっと立ち直れなかった。
だからひとりで、誰にも話すことなく、
小鳥やうさぎと、ゆっくりと、自分の手で育つものを見つめて
自分の存在意義を確かめていた。
チロが私を呼んでくれるとき、
私はちゃんと必要とされている存在なんだって思えたんだよ。
友達も家族も、知り合いがたとえ沢山いても
私は身の回りに人を最小限にしか置かない。
深入りすると、情が移りすぎて
いつも必要以上におせっかいを焼いて敬遠されたり
失ったときにものすごく傷ついたりするから。
誰かの重荷になるのは嫌だった。
私の求めすぎる気持ちに、人間だって答え切れないのに
小さな体で毎日私を受け止めたチロは
私のためにもっと長い年月分生きれるはずだった命の火を
燃やし尽くしてしまったんじゃないか。
チロは、
私といて幸せだったんでしょうか。
私にもらわれてきてよかったんでしょうか。
私と暮らして楽しかったんでしょうか。
私のことを好きだったんでしょうか。
病院に急ぐタクシーのなかで、
息がとまってないかと何度も指をもぐらせて確かめたとき、
チロは弱弱しくしていたのに止まり木を掴むあの足で
私の人差し指の腹をぴたっと握っって話さなかった。
その足の裏はとても熱くて、必死にしがみついている足の力が
私を求めているように感じて何もできないのに嬉しかった。
私はずっと自分の片想いなんだと思っていた。
私の情のほうがずっと深いと思っていた。
でも、チロが死んで、自分がこんなに悲しくなって
一緒にいたい、離れたくないと泣いているときにはじめて
チロも私と一緒にいたいんじゃないかと思えた。
だから魂になっても、私のもとへきて、
そばにいてくれるんじゃないかと思えて。
夢の中で私はまたあの大原の川のふもとにたって
誰かといたのだけれど、そこに青い鳥は見当たらなかった。
でも誰かといたような気がして、目が覚めて
しゅりとリュウをケージから出してぼうっとしてた。
何もする気力が起きなかった。
このまま、また鬱を復活させたりしたくなくて
サプリを飲もうと思ってふと横になっていたソファの
クッションにかけた白いバスマットを見てみると
すぐ目の前にしゅりがいた。

何か糸のようなもので遊んでいるように見えた。
それは

チロの、ブルーグレーのやわらかい羽。
私がチロの大好きなコットンのバスマットの上で何度もかきかきしたまあるい頭の羽だった。
チロは、それをこうして

何度もくちばしに持っていっては甘くついばんでいた。
私は、
チロが帰ってきているような気がした。
それは、小さな小さな、
しゅりにしかわからないチロの奇跡。
私は目の前で起こっていることが信じられなくて
夢中でシャッターをきった。
チロが映っているような気がして。
チロはこうして、今でも私をこんなに泣かせる。
今でも私をこんなに感動させる。
リュウをふと見てみたら、やっぱり同じ鳥だけあって
丸いおしりも歩き方も鳴き声もチロにそっくりなのに
私は今日までそんなこと気づきもしなかった。
リュウがチロに似ているなんて思いもしなかった。
私にとって大好きなマメの特徴はそのままチロのものだと思ってた。
それくらい、チロが私の宝物だった。
大原は寒いから心配なのだけれど、
土のなかは外よりずっと暖かいんだって。
生まれ変わりがあるとするなら、魂の乗り移ったりすることが現実にあるなら
チロがもう一度、私のところへ戻ってきてくれますように。
どうかもう一度、チロが私の手の中で
命をつなげますように。
天国の入り口に虹の橋があって、そこで私と過ごした動物たちは
ちゃんと待っててくれるという。
私はずっと、自分が死んだらそこで彼らに会えるから
死ぬのが怖くないって思ってた。
でも今チロに本心から望むのは、
本当はチロが私のもとへ戻ってきてくれることだけ。
だから、私はまたブルーのマメルリハをこの手に乗せて
そこにチロの魂が宿ることを望んでいる。
これは、私の自分勝手で、悲しい、人間の慰め方で、
チロではないその青い小鳥をチロに仕立て上げてしまうことかもしれない。
3代目のしゅりのように。
ママは弱いよ、チロ。
弱くて、怖がりで、我慢できない人間で
でなければ、ひとりぼっちで生きる方法がそれしか見つからないよ。



【沙門Samon】
【カリブ&マルガリータ】
【ダリDali】
【ショパンChopin】
【キトQuito】 ブルー♂。リブと連れ添ってきたが、子育てに悩み離婚。再婚後も妻に先立たれ、やけになってすさんだ暮らしをしていたが、何事にも明るくめげない蓮涙に惹かれ元の明るい性格に。
【蓮涙Hasumi】
【アランAlain】
【リブLive】
【レイLei】
【チビChibi】
【きよし&ヘレン】
【レオン&マチルダ】
【モンMon】
【サクラSakura】
【モナリザMonaLisa】
【ダ・ヴィンチdaVinci】 ブルーSPファロー♂。モナリザに遊ばれている年下の彼。
【北極&南極】 ブルーパステルペア。仲が良く、ふわふわの羽をいつも綺麗っこしている。巣引きも上手。
【しんのすけ&ヒマ】 イエローパステルペア。仲が良く、むちむちとした体をなすりつけあっている。もしかしたらホモ。
【ルパン&不二子】 アルビノ♂ルチノー♀。ゆで卵を割ったようで不思議な光景。
【リュウRyu】
【リンダLinda】
【ヒップHip】
【サマンサ】
【リンリンRinrin】
【マリオMario】
【シャルルCharles】 シュリがマリオとの間に作ったグリーンパステルレインボー♀。顔がシュリに似ている。手乗り度50%。
【しょうこShoko】 シャルルの妹。顔がマリオに似ている。手乗り度50%
【オスカルOscar】
【アンドレAndré】
【フェルゼンFersen】
【雪之丞Yukinojo】 スパングルダブルファクター。 アンドレの元夫。男前で優しく冷静沈着。再会したアンドレが気になるも、スミレと生まれてくる子供のために生きようとする。
【すみれSumire】
【チチ】
【アズーリ】
【富良野】
【エリザベスElizabeth】
【フィリップPhilipe】 王冠のような見事な頭を持つジャンボセキセイ。エリザベスにぞっこんも巣箱にこもられると仕方なくS子の相手になってくれる。
【ラムセス】
【シバ】 パイドライトブルー。見た目は大きいのに穏やかで優しいラムセスの理解者。
。
【ジュラ】
【ラドン】
【ティラノ】
【白亜 Hakua】
【ギドラ】
【ウィー】
【モスMoss】
【鉄子Tetsuko】
【きんつばKintsuba】
【雁ヶ音Karigane】
【すずSuzu】
【こりんKorin】
【ドムドム】
【ケンタ】
【江戸&京】
【加賀&更紗】 越後屋に生まれた娘「更紗」に養子を迎えて家を持たせた若い夫婦。子供ができないので少々悩みの種。
【鮫Same】 十姉妹集団と水浴びの順番を争うS家の元気印。
【ジュシーとマツ】 私が最も頼る十姉妹夫婦。世話好きで苦労好き。
【白鶴&白鹿】 仮母用十姉妹夫婦。毎日ものすごい運動量で飛び回っている。なぜ?
【ショコラとボンボン】
【ブッダBuddha】
【小太郎】 ブラックエボニー♂ 砂あび大好きで運動家。おねだりしておやつをゲットする姿がとにかくかわいい。
【お竜Oryu】 琉金 1歳。
【鶴子Turuko】 丹頂1歳。
【牡丹Botan】 オランダ獅子頭 1歳
【あずAzu】 東錦 1歳。
【らんちゅうベイビー】 一生懸命育てているらんちゅうの稚魚。毎日水替えが必要。
【メダカ】 ビオの住人。緋メダカと黒メダカがいる。
【チロChiro】
【松尾君】
【マック】
【シュリShuri】 



































