
アフガンが好きでアフガンのために働いていた息子を
助けてください とお母さんは泣いていました。
「また起きたか」というような捉え方をされている邦人誘拐ですが、
これは当然政府も外務省も予測していたことでしょう。
国際社会がこぞって危惧していると非難を表明したのは、
韓国政府がタリバンとの交渉で、人質を無事に取り返したときでした。
テロリストと交渉、軍を引く用意があるとさっさとテレビで公表するなど、
駆け引き以下の取引が行われてしまい、
支払われた金額は日本円で50億といわれています。
このことが、のちに外国人の誘拐を増やすだろうと一斉に非難されましたが、
そのとおりで、やっぱりまた彼らは同じ東洋人を狙ってきたようです。
しかし、今度はあの中村医師で有名なNGOの中でも最も代表とされる
現地密着型のペシャワール会の一員が誘拐、そして殺害されたことは
世界のNGO関係者に衝撃を与えたのではないでしょうか。
寄付をつのっておきながら、実態は事務所費や職員の給料で消えてしまう
いわゆるNGO詐欺などといわれる自己満足ボランティア集団が多いなかで、
ペシャワール会はすべてを現地への物資協力、奉仕でまかなう、
本当にすばらしい賞賛を受けている活動団体です。
ただ、日本人らしいと言っていいのかわかりませんが、
彼らは優秀で博学で研究熱心で、あの砂漠の地を復興させるのには
途方もない時間がかかることを知っていて、
地元の人にも見えないことをいっぱい知っていて、
だからおのずと活動は、今なにかを満たすものではなく、
先を見据えて未来につながることをされている。
でもそれは多分現地の人からすれば
多少わかりにくい活動でもあるんじゃないかという印象がありました。
勿論そんなことは中村医師以下スタッフ全員が理解していて、
だからこそ現地の側に立って、それを必死に説いて、教えて、
そうして農業や灌漑設備を少しずつ広めていくために
肉体的にもフレッシュで、明るく一所懸命で物怖じしない、
まじめで勇気ある彼のようなスタッフが不可欠だったんだと思う。
当然 全員が命を落とす危険性を覚悟して現地にいるわけですから、
冒頭のセリフはお母さんの子供を助けて欲しい一念であって、
彼の言葉ではないので、ここで自己満足論が出てきたとしたら
それは違うと思う。
もう遺体が発見されて、それはきっと悲しくして仕方のない死で、
沢山の人を涙にくれさせているでしょう、これは悲劇でしかない。
でも彼の死はけして無駄ではなく、
彼の愛したアフガンに、犠牲を払って布石を残した尊い死だと、
まさにあなたはアフガンを愛して命を投げてアフガンに生きたんですよと、
そう言ってあげたい。迎えてあげたい。
同じく誘拐されて生きたまま首をはねられた香田さんの残酷な死を、
今も小泉元首相は背負っているだろうか。
「自衛隊は撤退しない」ときっぱりはっきり言って、
ひとりの命を無残に散らせてしまった後悔はあるだろうか。
あの頃国民は小泉という男に常に
「キッパリハッキリ」とした言葉を求めていたのであって、
その決断を冷酷に思いながらも、やはり頼もしいと思ったのではないか。
香田さんは、運が悪くて、どうしてイスラエルに入っていたのに
アラブ圏に入ってしまったのか、
そのマークさえパスポートになければホテルに泊まれただろうし、
多少は誘拐犯も優しくすることもあったのではないか、
それは今でも ふと思い出してしまう。
イスラエルでボランティア活動をしていたことも
相手にわかってしまったのだろうか。
あの死はむごかったし、今も衝撃的で、とても怖い。
その恐怖と戦いながらも世界で誰かのために働くひとがいる。
ジャーナリストは、死ぬ。戦場を撮るひとも、自然を撮るひとも、
ジャーナリストが憧れてやまない人たちは みんな死んでいる。
その人たちのようになりたいとそれでもカメラを持つのだから、
死と隣り合わせの人生を覚悟していることだろう。
だがボランティアに生きる人々はどうだろう。
誰かのために死んでもいいから働くことと、
誰かを死なせたくなくて働くことは
心の一線上にのっているだろうか。
もうこの危険な世界のなかでは、
国際ボランティアの世界で生きる人も
いずれ全員が軍隊のように
事前に死を覚悟する必要があるのかもしれない。
ペシャワール会の活動は海外でも高く評価されていて、
そのような一部の日本人の方々が尊敬を呼んで、
私たち日本人が国際的に評価されるのだから、
彼らに私たちは感謝すべきこともあるのだろうと思う。
「この井戸を掘ったのはペシャワール会の日本人だ」でなく、
「この井戸を掘ったのは日本人だ」と言われる井戸を
彼らは沢山作っている、もしその井戸に、畑に出逢ったときに、
私は嬉しいだろうか、誇らしいだろうか。
自分はなにも していないに等しいのに。
だからせめて祈ろうと思う。
みんなで悼んであげたっていいじゃないか と思う。
彼は日本人として恥ずかしい行為をしたわけでもなんでもない。
無意味に殺害されてしまう人は沢山いるけれど、
本当に 死ぬ ということは なんにもなくなることで、
生きる ということは 無限のものが見えるもので、
そのすべてが 一瞬で消えることのものすごさを、
どうかあいつらには教えなければならない。
食べることより、働くことより、とにかく
教育が先だ、救える命があって、ただ救うのではなく、
完全な宗教者を早く立てなければいけない。
彼らは知らなすぎるのだ。
だからアメリカは必死にタリバンを殺した。
一生懸命撲滅させようとした、内外にものすごい犠牲をはらった。
まるで殺害因子を持つウイルスを撲滅するかのように。
だから子供も、また未来のタリバンを産むかもしれない女性も、
容赦なく殺した。
未来に必要なのは、豊かな緑が先か、
テロリストの絶滅した安全な大地が先か。
さつまいも はトマトと合うか否か。
想像すると、なんとなく合わない気がする。
民族によって多少違うだろうけど、
アラブ料理はほとんどがトマトで味付けするので、
さつまいも畑を作っていて、それをどういう風に食べさせようとしたのか、
主食にするつもりだったのか とか おなかが膨れる野菜だからか とか、
それだけで食べられるものだからか とか 色々考えてしまった。
でも、大切な資金源であったケシの花畑をつぶされて、
そこにさつまいもを植えている笑顔のまぶしい人間がいたら、
テロリストは何を思うだろう。
そのケシを買うのはロシアか、アメリカか。
なぜ殺されたのか。
ここから出て行けという忠告なのか、
裏で取引が完全に停止して使えなくなって面倒になったのか、
すでに仲間を捕らえられていたことへの反感なのか、
なぜ。
苦しく自己犠牲に徹しながら、懸命にアフガンに尽くしてきた会の人たちは、
今ここで若い青年の命という十字架を背負っていく。
年配の方が多いだけに、辛いだろう。
あまりにも、エネルギッシュな命の代償だったから。
自分の命の危険は感じていても、まさか
若い命を落とさせるつもりは、その覚悟は、
できてなかったのではないか。
でも、
彼の遺志をついで、
アフガンにいっぱいのさつまいもが実る畑が沢山できて、
料理をしなくても 暑い砂に埋めたり、焼き芋にして、
子供たちだけでも収穫して食べれるような
そんな未来がくるといいな。
そんな子供たちがタリバンにならないといいな。
そしていつかそこを悠久の古跡をめぐって、
みんなが旅していける、そんな未来がくるといいな。
そのためには、やはり寄付も大切だし、そうできる自分でありたいと思う。
心から、ご冥福を祈って、
今日彼の死によって教えられたことを、考えたことを、
私は誰かに発信するくらいしかできなくて、
でもそれが少しでも
誰かの心の片隅に 引っかかってくれるといいのだけれど、
チラリとでも印象に、残ってくれるといいのだけれど。
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2008-08-28(Thu) 15:26:49 | 気の向くままに





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