恋する小鳥

Irreplaceable 

「命の現場」殺処分のこと

君のオーラはきっとオレンジ


私が母と同居して二回目の秋を迎える。
初めは人間とまた暮らすのが嫌で嫌で、辛くて仕方がなくて、
お互い擦り切れて、喧嘩も多かった。
でも去年の夏にブッダ君を迎えてから、
母の生活は犬中心といってもいいほど彼に振り回されていて、
私など目に入らないようになった。
仕事をやめて動かなくなったひとが、もう朝五時に起きて散歩している。
どんなに険悪なムードで互いにささくれていても、
ふたりの間でまごまご もじもじ、
困ったような顔でおずおずと見上げる彼のどんぐりまなこを見ると、

「・・・もう、しょうがないなあ・・」

可愛くて、つい一緒に笑顔がこぼれる。
言い合いしていた内容さえ忘れてしまう。
子はかすがい だ。

滝川クリステルさんがニュースJAPANで最後に選んだテーマは
「命の現場」
悪質ブリーダー、悪質ペットショップ、無責任な飼い主、
残酷な運命を与えられ、もがき苦しむ犬たち。

動物取扱業の講習では、
必ず「犬猫の殺処分について」必死で説明を受ける。
ほとんどが、その辛い仕事を続けている動物愛護センターの、
悲痛な訴えを少しでも届けて欲しい という話に終始する。
そのために呼ばれたといっても過言でないくらいだ。
私のように鳥とか小動物関係のひとは、とかくついていきにくい、
犬、猫の話題がほとんどで、
思っていた以上に残酷な資料、悲しいビデオも見る機会になる。

「私達よりもずっとお客さんと直接お話しすることのできる、
 みなさんにお願いします。
 どうか、犬や猫を捨てないように、伝えてください、お願いします」

愛護センターが保護する犬を里子でもらう予定だった私は、
思わぬ母の反対にあって、子犬のブッダ君を迎えることになった。
山梨からの空輸。ブリーダーさんの手による、
トイプードルとミニチュアダックスのMIX犬。
保護精神とはまるで反する、
なんとも皮肉な、ペットブームどまんなかの嗜好犬。
そのために、いまだ罪悪感はあって、
あの檻の中からひとつの命を助けることができたはずなのに、
結局欲を優先させたの?これでよかったの? 
今もまだ、後悔してる。
金属の壁から噴射されるガスではなく、
朝の5時から散歩に出してもらえるような、
そんな母の愛情を受けることが、どこかの犬に出来たかもしれないのに。
だけど、ブッダ君は輝いているし、
その輝きとぬくもりに、私達がどれだけ救われているかは疑いようもなくて。

講習会で動物のプロの人達と見せられたビデオでさえ省略された、
最後のガス室で殺されるシーンが、
クリステルさんの涙目とともに最期までテレビで流れた。
恐怖でもがき鳴く犬たちが、だんだん弱ってこと切れていく、
子供たちがあれを見たら、
衝撃や残像でPTSDを起こすのではないかと思うほど、
ショッキングな映像だった。
ひと昔前なら、ボカシなしであのような映像を
テレビで流すことは許されなかったのではないかと思う。
だけど、それを見せようとする、そうしないともう駄目だと思う、
動物愛護センターの方達の悲しい思いが透けて見えた。
彼らにとって、あれは毎日起きていることなのだ。

今も、ファックスや定期刊行物が届くたび、
捨て犬などを防ぐチラシやポスターが同封されていて、
そうだ、私はそれを啓蒙する側にあるのだと 痛感する。
そして、あれだけ聞いておきながら、
実際なにもできていないことをどこかで隠してる。
自分の鳥のブリードと均衡が取れているのか、
矛盾していないのか、自信がないのか、いや胸を張れるのか、
それもまだ、答えは出せてない。
だけど、きっと私は一生犬を捨てないし、
犬猫を捨てるひとを許せないだろう。
大きいことはできなくても、その気持ちだけ固まっているひとが、
胸をはって言えるひとがひとり、ふたり、もし増えれば、
きっと、法律を守ったり、公共を乱さないような普通の感覚で、
その決意が当然のようにできていれば、
悲しい犬や猫たちは将来きっともっと減っていく。
だから、やっぱり ちゃんと言わなきゃいけない。
ペットブログやペットサイトは、ペットを飼いたくても飼えないひとが、
まるで自分が飼っているように癒されたり楽しめたりする面白さがある。
そしてそれがいつしか、憧れになり、
私のように、1羽のマメルリハへ駆り立てられ、
こんなふうになるほど 出会いが増えていくこともあるし、
「実際には飼わなくても、ネットで充分楽しめるからもういい」
そんな風にもきっと影響していくんだろう。
だけど大事な事は、犬や猫は生きていて、あたたかくて、力強くて、
その命は尊くて、愛くるしくて、飼うのには手間と責任がかかることを
知っていること。わきまえていること。
哺乳類だか猿には「かわいい = 触りたい」という本能があるのだと
チンパンジーの研究で証明されていた。
いつだってつい手を出してしまう、最初のひとことはきっと「かわいい」だ。
でもそこには責任がともなう。
犬猫が畜生と呼ばれ、一生庭に鎖で繋がれ、
犬畜生が家にあがってはいけないなどと、蔑んだ日本はもうない。
そこらじゅうが広がる荒野や農村で、
孕んだら面倒なので山へ捨ててくる、
そんな自然だのみの身勝手が通った日本はもうない。
動物を大事にできないひとは、動物に手を出さないのが良識となっていく社会。
ペットを飼うなら、必ず犠牲を要求される。
自分のできる以上の力、出せる以上のお金、費やせる以上の時間。
この子を守ろうと頑張らないといけない、忍耐と努力の連続。
たまには奇跡も信じないといけないし、
神様だって呼んでこないといけない。
メルヘンにもなる必要があるかもしれないし、
現実に目を向けて迎合していかなければいけない、
ウザい、なつかない、思ってたのと違う、
そう後悔することもあるだろう。
だけど、大人の喧嘩を止める、ものすごい視線、ありえない食欲、
美しい色彩、愛らしい寝姿、なんともいえない独特の体臭。
気持ちの通じ合えるペットと穏便に暮らせることほど、
贅沢なことはない。
それを伝えていくことが、私の次にしたいことのひとつになった。
ブリードはけして、悪いことではない。
ペットショップは、動物園よりも、さらに身近に命に触れ合える大切な場所だ。
誰だって子供の頃の思い出のペットショップをひとつふたつ持っている。
そして、飼ったことのないひとが、飼いたいという気持ちになることほど、
素晴らしいものはない、ペットに初心者も経験者もない。
誰だって、最初は初めてだったのだから。
そんなことを、もっとうまく書ければいいのに。
小鳥を死なせる私が書いても、説得力はないだろうか。
かもしれない、けど。


今は、目の前の犬一匹を、ほんとに幸せにできているか考えたい。
そして、偽善だといわれようがなんだろうが、
殺処分される子達について、また書いていきたい。
そんなのも全部、犬や猫たちがどんなに素晴らしい生き物かを、
彼らから教えてもらったから。
山に囲まれたど田舎で、
動物をたくさん飼っている家に生まれて私はラッキーだったのだ。
そして今、叶えられなかったお迎えと引き換えに、
やってきた黒い巻き毛の頼りない犬を抱く。


ブッダ君がいてくれてよかった。
君でなくてはならなかった。











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Category: 恋する犬
Published on: Fri,  09 2009 12:05
  • Comment: 16
  • Trackback: 0

動物愛護 滝川クリステル 放棄 殺処分

16 Comments

S子  

Bezner様へ

コメントありがとうございます。
本当ですね。ブッダを迎えたことと、
また別の機会になにかできることを、
平行して意識して持ち続けていけるといいなと思います。
ブリーダーさんの仕事の大部分は尊いですね。
犬は特に大変で、生物学上もこれからますます
意味があることになると思っています。
弁護士とおなじ・・・?あるからこそ と、
ないほうがよかった みたいな そんな・・・あ、
何書いてんだろ、意味不明ですいません・・・。

2010/05/09 (Sun) 23:23 | REPLY |   

Bezner  

お母さんを説き伏せることができなかったのは残念ですが、もしブッタ君が売れ残ればやはりガスで殺されていたのです。
でも、やはりブリーダーも売れなければ繁殖の仕事から手を引くことになり、それだけ無惨な死を迎える動物の数が減ると思うと、、、

2010/05/09 (Sun) 11:52 | REPLY |   

S子  

トトロ様へ

ハリー君もきっと守るお仕事に
誇りを持って生きているのですね。
犬は誇り高い狼から、果てしない流浪を続けて、
今はなんともいえない愛玩犬を見るようになり、
人々も 犬なのか ペット用の商品としての犬なのか、
いまいちわからないまま繁殖したり、買ったりしているような気がします。
欧米人は犬を尊敬するといわれますが、
私もぜひ、犬や小鳥たちを、
同じ動物として 尊敬できるような、
そんな付き合い方をしていきたいなあと思っています。

2009/10/14 (Wed) 12:09 | REPLY |   

S子  

てる様へ

一度だけそういういかにも悪質なペットショップが
元気のまったくない子犬を並べて
京都の繁華街にもオープンしたのですが、
とても可哀想で見てられなかったところ、
すぐに潰れてしまいました。
ペットショップは動物を本質で愛するひとに認められないと、
きっと結局立ち行かないんだと思うのですが、
そこへいくまでに犠牲になっていく動物達が
犠牲になっていいわけではないですもんね。
自分も戒め、だけど、黙らない、
少しずつ方向性が見えてきたようです。


2009/10/14 (Wed) 11:53 | REPLY |   

トトロ  

命は同じはず・・・

今晩は。トトロです。
大きな問題ですよね、決して他人事ではありません。
私のてのこぶし程もない体で、計り知れない喜びを与えてくれたり、身を引き裂かれるような悲しみを与えてくれたり、小鳥の命も人間の命も同じですよね。
我が家には柴とハスキーのミックス犬がいます。情報誌で「里親募集」で見つけて迎えることになり9年目です。沢山生まれてその子だけが両方の目の色が違うからと里親さんが決まっていなかったのです。初めて見た時に主人と「かわいいね~」と子犬のハリーを連れて帰りました。今では我が家をしっかり守ってくれています。色々事件はありましたが、我が家を一番冷静に見ている存在かもしれません。
この子が「ガス室」に送られると想像しただけで吐き気を覚えます。

血統書付の我が子を産むためだけに飼われて(拘束されて)いる犬も沢山いて、子どもが産めなくなったらそこらへんの山に放すという話も聞きました。ブリーダー(本当の意味では決してそうではない!)という鎧を着た殺人鬼です。許せません。

今月、私も動物取扱業の資格取得のため、講習会に行きます。そこでまた気持ちを新たにすることと思います。小さな声から何かが動かせると信じて、発し続けましょう。

2009/10/09 (Fri) 23:42 | REPLY |   

てる  

生き物の本題

その通りだと思います。ドイツではブリーダーの法律もあり年間の繁殖頭数までキッチリと決められて抜き打ちで検査も入るようです。日本は色々動物には緩く今まで悪循環が続いてきました。親から離す時期が早すぎたり、都内のペットショップは深夜営業。アジアのショップもひどいようですが日本も動物と暮らすにはまだまだこれから。ペットショップは健全な規制の上で適性価格な存在にしないと、今までのショップは規制もなく値段も高すぎる。商品といっても生き物ですからね。とくに野生動物のショップなんかみるとかわいそうです。僕もなにかできることは行動してみようと思います。

2009/10/09 (Fri) 19:16 | REPLY |   

S子  

たけぽん様へ

こんにちは コメントありがとうございます。
長く読んでくださっているのですね。
シュリが亡くなって、リュウは変わってしまって、
だけど、今はそれなりに リンダとひっそりと暮らしております。
また 子供が生まれるといいなあ。

そうですよね、ブッダだって、
あんだけウナギ犬のように長い肢体のプードルもどき、
受け入れられないこともあったかもしれませんね。
これが運命と思って 大事にするようにいたします。
また見方がひとつ変わったようです。
黒柴さん 幸せなんですね。
犬を檻に というのは 小鳥を籠に というのとは違って、
生命にダイレクトに還ってきますよね。
ときどきあの劣悪環境の犬舎を見ると、
よく知ってる鳥籠なのがわかるときがあって、
ぞっとします。あの籠に犬が・・・と。
人間は残酷さに慣れてしまうものなんでしょうし、
生きていくために そうせざるを得ない麻痺したひともいるでしょう。
そういったものを産んでしまう社会全体が
変わっていくといいなあと思いました。
自分で書いてて長っ・・・。

2009/10/09 (Fri) 19:12 | REPLY |   

S子  

phebee様へ

熊本の運動はすごいと京都でもおっしゃっておりました。
他の県でもあのビデオを見ないと受け取らない とかってことになると、
もっと捨てにくるひとが減るのかなあ・・・。
私も里親募集を一生懸命する方に感銘を受けたのに
結局なにもできないままです。
世界の中心で動物愛を叫ぶ しかないのですが、
きっと声はなにかを変えていくと信じています。

2009/10/09 (Fri) 19:05 | REPLY |   

S子  

ふろいらいん様へ

コメントありがとうございます。
老いていくのもまた成長なんですよね。
人間なら 最期まで吸収して成長して物事を知るのに、
動物は体が弱くなる=退化ととられがちな気がします。
最期の死までを含めて 飼う ということだと、
死を前提にお迎えできることが大事だと
コメントを読ませていただいて、またひとつ気づきました。
ありがとうございます。
ぜひぜひまた遊びにきてくださいね。

2009/10/09 (Fri) 18:53 | REPLY |   

S子  

アル様へ

ありがとうございます。
アル君はなんて幸せものなんでしょう。
彼女もできて、ラブラブ、
にぎやかで楽しい暮らしにとても満足しているように見えます。
それを見れる私も幸せです。

2009/10/09 (Fri) 18:48 | REPLY |   

たけぽん  

はじめまして。セキセイインコ命のたけぽんと申します。

S子さんブログは大好きでもうかなり長く楽しみに読ませていただいています。
(シュリとリュウの激しい愛には号泣したりも・・・)

私の友人がある日ブリーダーさんから
「素晴らしい血統書付の子犬がいるから」
と声をかけられ、息子さんが見に言った所、殆ど成犬の犬を見せられ
「あなたが買わなければもう殺処分だ」と言われて、柴犬の生後1年はたったその子を抱きかかえて帰ってきたそうです。

私はその犬(黒柴のかわいい子です)が引き取られて数週間たって友人の家に遊びに行ったのですが、家の中でも殆ど歩かず、また散歩に行っても一歩も前に進めないその犬を見て(外に連れて行くのも歩かないので友人が抱っこで連れて行ってました。)、生まれてずっと小さなケージに閉じ込められて散歩もさせて貰っていなかったであろう劣悪な環境に怒りを感じたのを思い出しました。

今、その黒柴の“翔君”はもうすぐ15歳。
友人宅で大切にされて暮らしています。


>あの檻の中からひとつの命を助けることができたはずなのに、
結局欲を優先させたの?これでよかったの? 
今もまだ、後悔してる。


・・・ブッダ君も、S子さん宅に引き取られていなければ、絶対にどこかで元気に暮らしている保証なんてないんです。

後悔なんてしないでくださいね(^。^)

ドイツや熊本市のように「殺処分0」が当たり前になることを心から願っています。

2009/10/09 (Fri) 18:13 | REPLY |   

phebee  

熊本ではテレビのキャスターが啓発してかなりボランティアも盛んになってはきましたが・・・
毎日のように新聞のお知らせ欄に載ってくる「子猫(犬)もらってください」の飼い主に怒りを覚えます。
飼えないなら避妊手術をして産ませなきゃいい。お知らせ欄に載せる費用を貯めれば出来るのに。
かと言って、何もできない自分も嫌です。
処分寸前の子たちを引き取って、里親募集している人、里親が決まるまで育ててくれる人。
今の私にはできません。
何の役にも立てないけど、せめて今居る子だけは天寿を全うするよう努めていきたいと思うのです。

2009/10/09 (Fri) 16:33 | REPLY |   

ふろいらいん  

はじめまして

もう…ずっと前から引き込まれるようにS子さんのブログに来ていましたが、初めてコメントします。
2羽のオカメインコを飼っている、ふろいらいんです。

私も、彼女が番組の最後にやりたかった事を感じながらテレビを見た一人です。
犬たちの最期のとき、ガラスの扉越しに、真っすぐにこちらを見上げるあの目が、脳裏に焼き付いて離れません。
S子さんがおっしゃる通り、可愛いには責任を伴うと思います。
家族に迎える根拠が可愛いだけだけだと、可愛いと思えなくなった時にはどうするのでしょう。。
そして、それはそう遠くない頃にやってきます。
私たちより何倍もの早さで、私たちと同じように彼らも老いていくからです。
そうなった時にこそ、家族として最期まで傍に居る覚悟の下で、運命の出逢いがあって欲しいと思います。

初めてのコメントが、堅苦しくて失礼しました。
これからも遊びに来させてくださいね。

2009/10/09 (Fri) 16:07 | EDIT | REPLY |   

S子  

Sアリスト様へ

あの最期の前足でガラスをかく必死のシーンは、
どうしても忘れられません。
熊本のように、変わっていくといいですね。

2009/10/09 (Fri) 15:00 | REPLY |   

アル  

私だって、

うまく言えないけど、これだけは自信を持って言える。

アルがいてくれてよかった。アルのおかげで今の私がいるんだから。他の何にでもない、アルじゃなきゃならない。
私にはそんな彼らを守るって言う使命がある。だから私は彼らがいる限り死なない、死ぬわけにはいかないのです。

大げさに言ったけど、心はほんと、そんな感じなんです。S子さんから引き継いだ小さな小さな重たい命なんですもの。

2009/10/09 (Fri) 14:03 | REPLY |   

Sアリスト  

自分もそのテレビ見ましたが
ひどいですよね。
仕方ないことなのかもしれないけれど
どうにかしたいものです。

2009/10/09 (Fri) 12:22 | REPLY |   

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