恋する小鳥

Irreplaceable 

怪獣姫の傷ついた心

笑って

さえちゃんは前回はじめて子育てを失敗した。
せっかく生まれた子供を途中で放棄してしまった。
ここは「育つ」と 期待しすぎた私が悪かったのだろう。
ずっとうまく育ててたからと言って、毎回大丈夫 なんてことはないんだろう。
だけど、私も勝手に信じていたらしく、
落胆は大きかった。

マメルリハの女の子の中にはものすごくナイーブで、
一度失敗した子作りのあと、人が変わったように元気をなくす子がいる。
まさか と思ってはいたけれど、
どうやら本当に、小鳥にもブルーな気持ちがあるらしい。
健康には問題なくて、ごはんもしっかり食べるけど、
なんとなくパートナーと一緒にいても、
前より心の距離を明けているのがわかる。
傷つくのを恐れているように見える。

マメルリハの精神不安には柳の木がいいらしいので、
枝を入れてみたり、リースにしてみたり、できることはそれくらい。
ベネトンの彼女ミランダもうまくいかなくなってから、どうも暗く、
ベネトンが心配ばかりして毎日かいがいしく世話をやいているが、
一度あいてしまった距離は縮まっていないように見える。
つまりミランダとさえちゃんの心の傷は深く、
思い出させる現パートナーではどうにも治らないらしい。

となると本当は破局させて新しい恋をしたほうが、
元気になるのかもしれない と思うこともあるけど、
マメルリハのお見合いはそもそも相性をあわすのが難しく、
それで余計に悪化させてしまうと、
体調まで悪くするかも知れないと思うと怖かった。
マメルリハは、元気のないところを攻撃されたら大きな怪我になる。

だけどようやく最近、さえちゃんのほうは立ち直りを見せて、
ミケランジェロに答えるようになってきた。
そこで入れた巣箱の内部を破壊して、勢いよく木屑で巣の内装を変えていた。
そして白い卵、またひとつ、もうひとつ。
命ははいっているんだろうか。

そしてミケランジェロの赤い目では見えないものを探るかのように、
さえちゃんは母鳥自ら見張りと抱卵を繰り返す。
私はその籠には誰もいないふりをして、見ないふりをするんだけど、
時々穴からさえちゃんが見えると、つい
「さえちゃん」と声が出てしまう。
すると、あわててミケランジェロも上ってきて、
ふたりで私からなにかを守っている。
それは卵なのか、住まいなのか、それとも、恐怖を感じる自分なのか。

心配ないから



君が


君がくれた大切な子供が、
もう子供を生んだと連絡があったよ。
元気にちゃんと子育てを終えたって、連絡があったよ。
生まれた子の顔は、実はそんなにさえちゃんには似てなかった、
だけど、さえちゃんはお母さんからおばあちゃんになったんだ。
さえちゃんがちゃんと育てた子供たちが、ちゃんと子育てをやりとおした。
さえちゃんが身をもって教えてくれたから、
その血があの子に流れているから。
だから そうやって命がこの島国で続いていくよ。

時々くじけそうになるし、

大好きな君たちを見ているだけで、
ただそれだけで暮らしていければいいんじゃないかって何度も自分に聞いたよ。

だけど、うまく説明できないけど、
私はこんなときにすごく感動するんだ。


巣箱いれてごはんいれて、取り上げて、挿し餌して、撮影して、

期待して、喜んで、挫折して、がっかりして、泣いて、悔しくて、


だけど、巣箱をまた洗って消毒して乾かしていくうちに、
いつもまた、最初の「期待して」に戻るんだ。
リピートするのは私であって、君たちではないのに。

ただ、さえちゃんの子供が見たくて、
この手に抱きたくて、触れたくて、

どうして

結果が欲しいわけじゃなくて、
成果が欲しいわけじゃなくて、
対価を求めているわけでもなくて、

でも、またもう期待しているんだ。
そういう私のことを、そうやって、恨めしそうな顔で見ている
さえちゃんのことを想いながら、今日も眠って明日を待つんだ。
私の人生のプログラムに、もう組み込まれてしまったみたいなんだ。

君が蝶なら私が花になって、必ず出会っていたはず。
君が魚なら私が珊瑚になって、必ず出会っていたはず。
君が野生のマメルリハなら私が野生の柳の木になって、

やっぱり必ず出会っていたはず。
どんな形であれ、私は君をはぐくむ「ナニか」だったはず。
みんなそうだと思ってる。
出逢った理由、惹かれた根拠、
運命と呼ばれる偶然。
選んだのではなく、選ばれたあの日。
それはきっと、どんな形でも、必然だった。
だって世界にたくさん小鳥はいるのに、
私はみんなと、こんなにぎゅっと一緒にいたかったんだもの。
誰かもみんな、一緒に過ごして愛した小鳥には意味があるはず。
そう、信じて、今日もそばにいさせて。









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さえちゃんがもっと小さい頃にも、同じ涙が流れてた。
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Category: マメルリハ考
Published on: Fri,  15 2010 17:11
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