恋する小鳥

Irreplaceable 

おもいで(3)

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彼女の世界


書けば書くほど、気持ちが楽になってきました。
最近は高校の授業料無償化などの話題がアンテナにひっかかって、
だから彼女のことを思い出すんだろうなー なんてことに気づきました。
途中に別記事もはさみますけど、
このお話はもうちょっと続きます・・・。





メリハンがあの日、教室で「アリラン」を歌ったわけ。
その理由が、やがてあきらかになるのは中学に入学してからのこと。

近隣の7つの小学校から集められた中学校には、
メリハンがもといた小学校の子供たちも入学していた。
だから、もとより二年たてばメリハンはまた中学で、
かつての同級生たちと再会することを知って転校してきていたのだった。
そして、私は、入学式の日に、
歓喜の声をあげて、すでに全校の注目のまとになりながら、
再会を祝いあうメリハンと友人たちの輪に入る事ができなかった。
紹介してもらって、なにかどこか、うまく互いに笑えないことに気づいた。
とても大人びた、すでに髪が茶色く脱色された少女たち。
名札を見たら、みんな苗字が同じだったり、よく似ていて、覚えられない。
そして、私はおぼろげながら察するようになる。
みんな「在日」なのだということ。
そして、みんな
「アリラン」が歌えて。


メリハンは初めて会ったあの日、教室で突然「アリラン」を歌い出した。
あの時、もしかしたらメリハンは、
私たちも一緒になって、すぐに口ずさんでくると思っていたのではないか。
一緒に歌おうと思っていたのではないか。

だけど私たちは、その歌を聴いたこともなく、
あまつさえ初めてきくメロディーに驚き、外国の歌だともてはやした。
あのとき、メリハンは知ったのではないだろうか。
自分のなじみ深い歌が、いつもみんなで歌っていた歌が、
通用しない世界があるということを。
自分の知っている言葉が、外国の言葉だと言われていることを。
だから、彼女は、
そんな歌は知らないと、突然言い出したのではないか。
その事実を抹殺するために、「転校生が外国の歌を歌った」とはしゃぐ私の、
口を封じなければと思ったのではないか。


そして、
いつしか少しずつ、メリハンとの間に距離ができていった。
必然的に昔の仲間といることの多いメリハンと、
特に目立つこともなく、地味に勉強と部活をやり過ごしていた私では、
接点など何もなかった。
なにより、美女軍団と呼ばれる不良少女グループの中心人物だったメリハンは、
「校則などくそくらえコース」を邁進していたので、
付き合うには非常に金がかかった。
タバコも、お酒も、お化粧も夜遊びも、私には無駄づかいにしか思えず、
メリハンたちはどこからか湧くようにお金を所持していたけれど、
私には使えるお金などそうあるわけがなくて、
だから何度誘われても、「ごめん、ついていけない」と背中を向けていた。
だけど気持ちのどこかで、正直肩の荷が下りたような気がしていた。
もう大人の目を気にせず、どうどうと学校へ行けるんだとほっとしていた。

でも本当は、あのとき、
私はメリハンのそばを離れるべきではなかった。
「歌っていない」と嘘を言い放って
同級生を兄に殴らせて薄く哂っていた11歳の少女。
彼女のなかに冷たい狂気が流れていることに、
本当に気づいていたのは私だけだったのに。

だから背を向けてはいけなかった。そのままにしていてはいけなかった。
いつも手を伸ばし続けてなければいけなかった。
後悔したときには、
もう、最初の犠牲者が出ていた。











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次からは読んでて嫌になることも出てきます、ごめんなさい

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Category: 恋する思い出
Published on: Fri,  26 2010 12:14
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