恋する小鳥

Irreplaceable 

タハリールの薔薇

人々に花を



これまで何度もエジプトに出掛けたわが母K子さんが、
行くたびに汚くなっていく町の変貌ぶりに、
幻滅するとよく言っていた。
私はもともとスラム街のようなところに住んでいたため、
観光コースからはずれた市井の暮らしはとても不衛生で、
もともと綺麗なんかではないのに
何を言っているのかといぶかしんでいた。
エジプトは、表裏が激しくて、
民衆のなかに義はあるけれど、
公営のなかに正義がないように思う。
当時、国立博物館にいた警備の警察や軍人さんは、
揃いも揃ってイケメンで
それこそモデル雑誌から抜け出したようだった。
エジプト全土から集められた美男子が、
飾りのように置いてあるんだと、
聞いたときは思わず納得したくらい。
今は知らないが、当時は自分たちにチップを出せば、
未公開品を見せると言ってよく客引きされたものだった。
ある日、博物館の駐車場で、観光客用のバスが自爆テロにあったとき、
気が動転して銃を乱射してしまい、
ずいぶん観光客を撃ってしまったことがあった。
居合わせたガイドの話では、
突然錯乱してバスに向けて発砲したらしい。
もちろん犯人グループも応戦して惨事になった。
そんななんの訓練もしてないような彼らに、
銃を携帯させていいのかと思っていたら、
その日のニュースでは「見事犯人を鎮圧した」となっていた。
事実は、強大な力の前では揉み消されるものだと思ってた。
知人が住んでいたアパートの大家の息子にレイプされたときも、
犯人の母親が逆に彼女を訴えて警察に捕まえられていった。
彼女はそのまま帰ってこなかった。
送還されたのか、入ったままなのか、売られたのか、
さっぱりわからない。そんなことが、普通にあって、
軍人だの、警察だのは、本当にあてにならない。
交通も非常に混雑しているし、
生ごみは徒歩で集める仕事のひとがいて、
毎週そのひとにお金を払うんだけども、
そのひとは集めたごみを橋の下に捨てて、
そこにはホームレスの人糞があって、そこで犬が子犬を産んで、
だから狂犬病など犬は病原体と同じ扱いで、
子犬は見つけられれば殺される。
水道は湧かさないと飲めないし、だから紅茶を飲むんだけど、
貧乏なひとたちには茶葉が行き渡らなくて、
本当に残った粉を水で溶いたような薄い茶をすすっていて。
なのにフォーシーズンだのザヒだの、
観光で国は一見すると、とても潤っているように見えて、
美しいように見えて、
本当に美しいのは、今朝のタハリール広場を埋め尽くす人々が
ひざまずいてアラーに祈りを捧げる姿なのに、
ムバラクは、バカだ。あんなだったっけ?首をかしげる。
あれほどの強大な力を持ちながら、
なぜ人々に手を差し出さなかったのか。
排気ガスが充満して煙をあげている屋根もないようなバスに、
それでも、それしか手段がないため、人々は手をあげて止めて乗る。
ひざに見知らぬひとを乗せ、
そのひとの膝にまた見知らぬひとが座って席を分け合って、
顔を手で覆って、頭痛と吐き気をやり過ごす。
若い少年たちは、バスからはみ出すようにハコ乗りして。
その横をほんの10人ほどしか乗っていない、
冷暖房完備の立派な観光バスが我が物顔で通って行く。
シュールといえば、それまでだけれど。
やりきれないようなあって、いつも思ってた。
思い出せば、本当にいろいろ。


博物館が襲撃され、貴重なミイラが破壊されているのを見て、
あのモデルみたいな美男子警備員たちが、
さっさと逃げ出した姿を想像してちょっと笑った。
考古学ファンにとってはショッキングなことだろう。
K子さんも開いた口がゆうべもふさがっていなかった。
だけどもまあ、ミイラなど所詮人の死体の抜け殻であって、
何千年前の王とか言われても、・・・である。
毎日ナイル川でトイレして洗濯する人々にとって、
何が一体人として大事かということを、今一度問う勇気。
半分以上はよくわからないまま参加しているといった、
見方が多いんじゃないかと思うけれど、
強烈アメリカアンチのエジプトのデモにしては、
アメリカの国旗がなくて驚いた。
ちゃんと先導しているひとに、
脱線させない、飛び火させないよう呼びかける
グリーンでクリーンな若いひとが沢山いるんだろう。
バラは、『ワルダ』。
ワルダという名前のひとは、きっと由来がこのバラなんだろう。
エジプト人はバラが好き。キオスクのように、
町中に、道路のまんなかに、小さいハコの花屋さんがある。
信号で車が止まれば、ここぞとばかりにジャスミンの首飾りや、
萎れたバラを握って、小さな子供たちが窓を叩いて売りに来る。
「ガミーラ、ガミーラ」(このバラ)綺麗、綺麗。
一生懸命。

花屋さんやホテルのゴミ箱で拾い集めて、
縫うように車の間をすり抜けて売り歩く子供たちは、
よく車に轢かれて命を落とすのだという。
バラは好きだよ。どんなに貧しくても、

「綺麗」

一輪の花に心を動かす、あの国の人々が大好き。








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Category: 鳥以外のこと
Published on: Wed,  02 2011 12:34
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

エジプト タハリール デモ

2 Comments

pioniko  

マズローの法則を思い出したんですよね。
読んでいて。

私は日々、自我の欲求とか、自己実現の欲求みたいなものが満たされてない人たちのサンドバッグ的存在じゃないかと思ったりする仕事をしております。

そして自身はもう少し底辺の、
生理的欲求とか、安全の欲求とか、社会的欲求が満たされてるのだから、
もう十分幸せだわと満足しちゃってる感じなのですが、
こういう国の建前と本音を知るたびに、
もーそれでえーんでないかいとつくづく思う。

人は何を以ってして幸せなのか。

安全に暮らせてほどほどに収入があって、
愛する人がいて愛してくれる人がいて。
それ以上のものを求めているときには、
たぶん底辺の欲求のどこかが歪んでいて満たされていないんだと思うの。

薔薇は愛の象徴。
どんな世の中であっても薔薇の美しさに心和まない人はいないのかもしれない。

2011/02/03 (Thu) 13:22 | REPLY |   

典  

大バカものなんかじゃありません!

古代文明や歴史が好きな私ですが、エジプトは行った事もなく私にはとても遠い存在の国。


それでもエジプトのデモの様子を見る度に、
この中にS子さんの大切な人が居ないだろうか?
S子さんはどんな想いでこの映像をご覧になっているのだろうか…
と他人事には思えません。


大切な人が側に居なくても、無事で…幸せに暮らして欲しい、
その手助けが出来るならしたいと思うのは、至極当然の事だと思いますよ。

2011/02/03 (Thu) 09:17 | REPLY |   

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