恋する小鳥

Irreplaceable 

アリウムの面影

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どこの山だよ  



私の今住んでいる家は祖母の持ち物で、
もともとは母の実家になります。
祖父と祖母はその後、この実家を貸家にして、
新しい家を建ててそこで暮らしています。
祖父は戦争から帰ってくると、すぐに婿養子に出されてしまい、
見たこともない土地へ突然祖母と式を挙げられたせいで、
祖母の実家に暮らしている間は、
戦争帰りの人間もあまりこのあたりにはおらず、
どうにも居心地が悪い日々だったらしく、
国鉄を退職後に別の場所に新しく家を建て、
息子と祖母の3人で暮らしはじめました。
祖父には、そこが正真正銘の「俺の家だ」という
強い思いがあったようで、
施設や病院をたらいまわしにされた晩年には、
ベッドの上でいつも、
俺が建てた家で死にたい、家に帰りたいと泣いていました。
田舎なので、多くの老人がいまだ
家で看取られて死に、家で葬式をあげることも珍しくないなか、
祖父は病院でひとりで死に、
葬祭場で式をあげられました。
母とこの家に引き取るといったときは、祖母が反対し、
祖父が願っていたことも、この家での最期ではなかったのですが、
長年に渡り、嫁舅の仲がどうしようもなく悪く、
その嫁と息子の家族を中心に世代交代してしまった祖父の家に、
祖父は戻ることができませんでした。
今でも、祖父の最後は可哀想であったと、
無念な思いが消えませんが、
どうすることもできなかった自分たちの財力のなさなど、
責任はこちらの家にもあることなので、
ただごめんなさいと、空に詫びるばかりでした。
祖父は生前、いつも野菜を育てていて、
私たち兄妹が、父が行方不明で、家が崩壊し、
もう米もガラス瓶の底を尽き、食べるものが何もなかった子供時代に、
駅までやってきて、自分で畑で作った野菜をたまに届けてくれました。
いつもそこには玉ねぎとネギが入っていて、
禿げた祖父の頭と玉ねぎを重ね合わせて冗談を言うと、
祖父はいつだって真剣に怒り出し、大声で怒鳴られました。
冗談は全く通じず、無口で頑固で怖いひとでしたが、
それでも野菜は私たち家族を、ビタミン不足から助けてくれました。
あれから、時がたち、祖父もいなくなり、庭で野菜を育てていますが、
自分でネギを育てるのは、祖父を思い出して母を悲しませそうで、
絶対に手を出さないでいます。
ただ、母がどうしてか「紫のぼんぼん」が大好きだというので、
去年は植えなかった紫のアリウムを、
今年はまた、すこしだけ植えておきました。
ちゃんと咲いた、ネギ科アリウムの姿は、
どこか祖父の姿に似ていて、
一か月ほどにわたって、ようやく満開になるその姿は
ずっと楽しめる有意義な感傷のようで、
母が頭をいつも撫でて、ここまでようやく咲いてきました。
いつもモンシロチョウが2・3羽止まって、
ひとつひとつの花を点検して蜜を吸っていきます。
鎌を持って、草をもっと刈れと怒っていた祖父の、
忘れ形見の鎌はもう錆びきっていて、
きっとこのような緑いっぱいの庭を見て、
「だから刈れといっただろう」と怒っているだろうね、と母と話し、
いつもどこかこの庭には、
祖父がいるような気がしてなりません。
祖父は正直に言うと、私のあとに、
息子夫婦に生まれた女の子二人を溺愛していて、いつも
その子たちを可愛がるようにと、私に強制していたので、
私がそんなに慈悲を感じるほどのことではないと
母は思っているようですが、
私にとっては大切なひとだったのだろうと、
徐々に、徐々に、感じるようになってきました。
もっとできたはずなのに、
後悔が、あとをたちません。
あのように賢くまじめに生きてきても、
ひとり病院で息を引き取ることがあるのを見て、
自分が死ぬときは、どこで死のうかとか、
そんなことばかり考えるようになりました。
いつか、きっと、もういっかい、
このひとだと思えるような、
誰かに会えるんでしょうか。
それともひとりで死ねて始末もつけられるだけの資金を
ちゃんと準備しておくことに全力を注いだほうがいいのでしょうか。
アパートで、孤独死のニュースを見て、おびえていますよ、
まだ三十路ぎりぎりなんだけど。
でも、この庭を見ながら、
風に吹かれて、同じ空があって、
なんだか祖父の心境といつも錯覚します。
祖父はきっと、孤独でした。



とてもきれい



緑と紫。コントラストの美しさ。



ねぎなの

 


来年もまた植えようと思う。

 




 











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Category: 今日の小鳥たち
Published on: Thu,  29 2014 08:13
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