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恋する小鳥

Irreplaceable 

小さな葛藤

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愛犬ブッダ君になかなか会えなくなった。



毎日、私は京都市内に居て、ブッダ君の住む南部の地方の家に帰ることは一ヶ月に一度くらいになった。
祖母が移り住んできて、生活が一変してしまったから。

もう次に会うのはこのひとの葬式だろうと思っていた相手と、
いきなり仲良く暮らすのも難しい。祖母は95歳になるが、いまだに毎日肉を食べ、てんぷらとウナギを要求し、
一日の大半を新聞をすみからすみまで読むことに没頭して過ごしている。
多分まだ死なない。同じねたみごとやひがみごとばかりを悪し様に繰り返す様は、認知症の症状のようにも思うし、
もともとこういう人だったとも思う。誤魔化しや手癖も悪くて、なによりお茶ひとつ自分でいれないことにも驚くけど、
ひとりで美容室に行ってパーマもかけてくるし、整骨院にもてくてく通っていく。
頭の回転も速く、お気に入りの民進党が空中分解したことに衝撃を受けて毎日答えを探してる。


長く嫌い合っていた私と祖母は、今は休戦協定を結んでいるので、
一緒にいる間は仲良くやっている。
それでも帰りにくくなって、離れているのは、祖母の拗ねざまがすごいからだ。
祖母はもともと毒母というやつで、年をとってもなお自分の娘(私の母)を独占してあやつりたい欲望にまみれているので、
私が長く休日を過ごすと、母を取られるのが苛立つらしく、激情していく。
自分でも感情をうまくコントロールできないようなので、やはり多少は認知症の症状があるのかもしれないし、
できるだけ離れているのがベストだということになった。
母は今流行の俳句やシャンソンの習い事に忙しくすることで、
できるだけ外出を増やし、うまくべったりまとわりつく母親から、距離をとって生活できているようだ。
たまに3人会えば、仲良く楽しく話して暮らしてはいる。
足し算と引き算を暗黙に計算して、3人でなんとか外向きも内向きもやっている。
要はバランスなのだと思う。


祖母は私が何をこしらえても、肉料理なら喜び、魚料理だと不機嫌になる。
最近知って驚いたのが、あれほど勝手に抜くな、食べれるのだからと言われ庭の大半を取られていたフキとミョウガは、
この祖母が植えたものだった。爆裂に増えたこのふたつの植物の繁殖力は恐ろしく、野草化してみっともなく、
これまで10年以上、何度も交渉したけれど、祖母はがんとして駆除させてはくれなかった。
しかし一緒に住んでわかったことは、
彼女はミョウガもフキも嫌いなのだそうだ。
貧乏だった私たちが食べるものがないときに食べればいいと思っていただけで、

「こんなもの 私はもともと食べない」

頭が真っ白になった。


次の日にすべてのミョウガを抜いた。新ミョウガがいっぱいついていたけれど、
食べ過ぎると毒になる量を超えているので、苦労して食べる労力にあたいしないので、もう全部捨てた。

抜いたところで来年の夏には地下茎から生えてくる悪魔みたいな植物なのだけれど、
できるだけ早くにあの10㎡くらいの場所に、宿根草を植え、球根を植え、
シェードガーデンとして、ミョウガの生える余地のないような庭にしていくことに決めた。
ミョウガやフキが悪いわけじゃないけど、なんだかもう見るのも嫌になった。
人生という短い期限ある生活のなかで、なにかを無理して食べることにまったく意味はない。
好きでもなく、食べもしない草を無理して育てることにもまったく意味はなかった。
毎日見るたびに鬱陶しく幻滅していたミョウガとフキの大群に、手をこまねいていた日々は本当に陰々滅々とした気分だった。
お吸い物のなかのミョウガに気づいて、祖母が箸で返してくるまで、
どれだけ庭の土のなかに、あの忌々しい根が張り巡らされていっただろうか。



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久しぶりに帰って出会ったブッダ君のまぶたに腫瘍ができていた。
右目は下まぶたに、左目は上まぶたに。
母に尋ねると、母は気づいてなかったらしく、今もどれだけまぶたを見ても何のことかわからないという。
目の上にかぶっていた毛をカットして、大きなどんぐり眼がぱっちり見えても、
まだわからないというので獣医に連れて行くと、
右は切らなくてもいいけど、左は切った方がいいかも知れないと言われる。
ただ顔は少し変わるかもということ。プードルには多い病気だということ。
取り除くだけで、治るとかいうことではないということ。




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様子を見ている間の点眼も必要ないらしい。
左まぶたの腫瘍はふたつに増えて、私は早く切るべきだと思うのに、
母にはどんな腫瘍か見てもよくわからないけど、
ブッダが痛そうにしていないのだから貌が変わってまで切らなくてもいいのではと言う。
母はもともと、自分が見たくないものを見えないと言い張る癖がある。
このひともすこし、天然から認知症に、シフトしていっている部分をすこしづつ見つける。
人は年を取って体も脳も少しづつこわばっていく。



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私があまり帰らなくなった家でも
その代わり一日のほとんどを一緒にいてくれる祖母を手に入れたブッダはとても幸せそうだ。
何度もあの嫌らしい形のおもちゃを飽きずに繰り返し投げて貰えるちょうど良いマシーンのように祖母を愛している。
来週には、このまぶたを切るかどうかを先生と決めなくてはいけない。



line hige


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Category: 恋する犬
Published on: Sat,  07 2017 01:05
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