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京番茶のこと

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子供の頃、大きなヤカンをふたつ使って、番茶を作るのが毎日の日課でした。
当時は我が家ではまだ蛇口から井戸水が出るのが普通でしたから、基本的に水は飲まず、
常にこの番茶が家族の水分でしたので、毎日沢山作っておくのが、
私の人生で一番最初に覚えた家事だったと思います。
当然足りないと怒られ、残るともったいないので、最後の一滴まで飲んで空にしなくてはいけません。
母は嫁いできた家のそういうことを踏襲することが好きではなく、
また子供には京番茶は濃すぎると思っていたようで余り飲むなと言われましたが、
私は祖母と同棟で寝起きして暮らしていましたから、食生活がほぼお婆ちゃんで、
本当に間食も、漬け物と一緒に番茶をガブガブ飲んでいる子供でした。


京番茶は沸騰したお湯に茶葉を放り込んで少し煮たせるので、
お茶というのは入れるものではなく沸かすものだと思っていたし、今でもそう使ってしまいます。
ちなみにエジプトじゃ紅茶はシャイというのですが、シャイもグラグラと紅茶の茶葉を沸かします。
シャイは大体男性が作るのが普通で、50度ある真夏でも、
熱い紅茶に砂糖を4杯くらい入れて飲む激甘飲料なのですが、
それが熱中症にならない秘訣で、彼らがいつも元気でいる理由でした。
お茶は人生において大事なものだよなあと思ったものです。



呉服業に勤めていたときには、お客様にお出しするのに上等な緑茶を使わせていただいていたので、
お茶を煎れる練習などを一生懸命したものですが、
私はどうしても京番茶のほうが好きで、ほとんどを京番茶で過ごしています。


子供の頃から無類の京番茶好きでしたが、京番茶は入れるのが難しく、
熱すぎると香りが逃げてしまい、ヤカンに置きすぎると、どぶ臭くもなります。
茶葉を投入してから即効でヤカンの蓋をし、噴かないように気をつけながら少しだけ沸かしたら、
大体のタイミングでパッと火を止めるのが私の沸かし方なのですが、
そのタイミングが早すぎても、遅すぎても美味しくなくなるので、
じっとヤカンの前で見張ってここだ!というタイミングで止める必要があります。
事務所はガスも通してないので、長年カセットボンベを使っていますが、
この夏は暑いので飲み過ぎるのか足らなくなるため、大量にガスボンベと茶葉を消費しています。
麦茶だと水出しできるので冷やし番茶はかなり不経済ですよね。わかってるのですけど、お番茶飲みたくて。


私にとってお番茶とは沸かして飲む薫り高い茶色いお茶のことでしたが、
世間でいう番茶とは緑色のお茶であって、番茶と京番茶とは違っていることを
大人になるまで全く知りませんでした。
京番茶は番茶と違って、宇治から南のほうの京都でだけ飲まれていたものらしく、
タバコ臭いと評されるほど個性的なお茶のようです。
でもいくら京の銘店や宇治の老舗でお高めな京番茶を買っても、
私の好きな味ではなくていつもがっかりしていました。


私の生まれた家は古い田舎の庄屋みたいなところで、番茶やげんのしょうこなどの薬草は、
必ずどこかの誰かが作っているものを卸した残りをわけてもらうもので、
それは大きな筒缶に常に補充されて入っていて、お店で買うことはありませんでした。
だからどこの誰が作っていたお茶なのかもわからず、
卸された先のお店を特定することもできません。
多分亡くなった祖母しか知らないと思います。
でも、思い出補正なのか、どうしてもそれが一番香ばしく美味しい味だった気がして、
ずっと店頭で京番茶を見つけるたびには買って試しておりました。


それが3年前くらいから、ようやくこれかも?と思う京番茶に会えました。
大人になってから急に焦がれて飲みたくなって、
探し続けた子供の頃の味によく似ていてとても美味しい。
まさにガブガブ飲める味。私の沸かし方についてきてくれる味。


それは本当に偶然はいった、小さなお店にありました。
店員さんに茶葉を見せてもらった瞬間から、これだと思った懐かしい香りと手触り。
買って帰りましたよね、本当にウキウキと。
そして沸かしたときの衝撃。部屋中に拡がった薫りがもう子供の頃の思い出そのものでした。
驚いたのは、袋の裏にあったこのお茶の製造元の住所が、
私の生まれた村の住所だったこと。
産地が同じだったのです。やっぱり嗅覚と脳ってすごいですね。
記憶をつないでいてくれていたのです。


ちなみに、その京番茶を他者に飲ませても、私が力説するほど美味しいものではないようです。
まあ美味しいっちゃ美味しいけど、ただの香りの強いお茶じゃん みたいな。
だから、私がどうしても飲みたがっていたのは、美味しいからじゃなかったのかも知れません。
故郷の味だったからなのかもしれません。
まあ、子供時代は体の水分が番茶で作られていたようなものでしたので、
体が覚えていたということなんでしょう。

ちなみに京番茶は「きょおばんちゃ」と発音します。なぜかはわかりません。
でもそこから番茶でなくお茶でもなく、「お番茶飲む?」などとと言ってしまうのかもしれません。

カフェインがないのが残念なのですけど、効能を調べたら
血糖値改善、老化予防・対策、がん予防・対策、消臭効果 ・・。
私と同じく飲みまくっていた祖母は70代で痴呆になっていましたから、
あんまり老化予防は効いてなかったような気がしますが、
色白で細くてとにかく綺麗な婆で、正気でいるうちは臭いもなかったかなあ。

緑茶はちょっと甘みが苦手になってきたので、番茶飲んで耐暑しています。
最近本当に観光客が多いので、どこに行っても抹茶ものだらけなんですけど、
京都はほうじ茶ソフトやスイーツのほうが断然美味しいし、おすすめです。
ほうじ茶や玄米茶がお好きなら京番茶は絶対ハマると思うので、
ぜひまだ飲まれたことがなかったら、一度京番茶おためしくださいね。










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Category: 鳥以外のこと
Published on: Sun,  29 2018 02:08
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