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恋する小鳥

Irreplaceable 

想いを剥いていく

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タケノコを貰ったから早く掃除して茹でないといけないと、
祖母がオロオロ訴えてきた。

何度も何度も繰り返すけれど、肝心のタケノコが見当たらないので、
いつもの認知症のせいでまたトリップしてるのだろうと思っていたら
事実、本当に貰っていたらしい。
祖母は貰ったタケノコをなぜかどこかに隠してしまい、
そのうちに、どこへやったのかわからなくなり、
そもそもあれは夢を見ていただけで、本当は受け取ってないのかもしれない、わからない。
ただ早く茹でないといけない、だから探してほしいのだと何度も言う。

そこで一応夜になって、探すふりだけしたら、本当に部屋の奥から出てきてびっくりした。
ぬかまで入っていて、用意周到でありがたい。

親戚のそのおじいさんは幼いころに母親を結核で亡くし、
10代だった祖母は女手のないことを不憫に思い、よく面倒を見ていたという。
ほとんど交流はなかったのに、祖母が住んでいた家を追い出されて娘の家にいることがわかると、
同情して怒って飛んできてくれて、それから毎年タケノコを持ってきてくださる。

それがコロナで2年ほどタケノコ配達はなくなり、その間に祖母は色んなものを忘れてしまったけれど、
顔を見れば全部思い出せるようで、ようよう会えて良かったと思う。
もう80年以上前の恩を返すように、タケノコは律儀に届き、輝いている。

祖母はあの頃は結核が流行ってあの子の家は可哀そうだったと何度も繰り返してる。
私によって、多分そんなに美味しくない料理になってしまうのが早々見えてもったいなかったけど、
姫皮を壊さないように、そっとそっと剥いた。
だんだん見えてくる生肌色の芯に、ふたりの老人の思いやりの応酬が、
幼い頃の精一杯の日々が詰まっていて、優しさに泣きそうになった。
隠したくなった気持ちわかるよ、おばあちゃん。
こんなに綺麗で大事なタケノコだもんね。



line takenoko

ちなみに料理はやっぱり失敗した。
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Category: 鳥以外のこと
Published on: Thu,  21 2022 02:27
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筍料理

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