
私の母は軽い強迫性障害で、特に洗濯にたいして並々ならぬルーティンを持っている。
ひとつでもずれると発狂したように最初からやり直したりするので、
彼女と暮らすひとはその洗濯と対峙する彼女のやり方に従わなくてはいけない。
母は毎日シャワーと洗濯を何度も繰り返すので、夏は大変だ。
タオルがふんわりというのは買ってきたときだけの話で、
ちょっと使っただけで毎回洗われてしまうので、あっという間にゴワゴワの和紙みたいなタオルになる。
部屋いっぱいに干しているので、当然色んなものがなくなっていく。
それでも彼女の洗濯の部屋には、誰も入ることが許されないので、もう放置している。
本人も死ぬまで洗濯すると言っている。大好きなのだそうだ。
ただブッダ君に関しては、私はちょっと心配している。
目の白濁が進んでいて、白内障になっていて、前よりも目が見えにくい。
犬はもともとそれほど視覚には頼らないそうで、ほとんどを嗅覚で覚えるという。
だけど母は洗ってしまうのだ、犬のベッドでさえ毎日交換されている。
おかげでフワフワだったベッドも、接触冷感だったベッドも、もう毛羽立った、ただのクタクタ生地である。
しかも母の洗濯道には乾燥機が許されないらしく、毎日お天気に気分が左右される。
雨で乾かない日があると困るので、ベッドはローテできるほど増やしている。
おかげでいくつベッドがあるかわからない。
大好きな自分の匂いも染み付いてないだろう。おもちゃも首輪も毎回洗われて、
清潔だけど犬的にはどうなんだろう?と心配してる。
ちょっと匂いがあったほうが、犬は記憶が呼び起こされて安心するのではないだろうか。
洗剤で洗っても、犬には嗅ぎ取れるような匂いがかすかに残ってるものなんだろうか。
犬は毎日交換してもらって喜んでいると母は胸を張る。本当にそうなのかな?
大事なおもちゃも犬用の服もいつの間にか魔の洗濯部屋でなくなってしまう現象と、
こすりつけた匂いが全部消えたゴワゴワのベッドやケットたち。
ブッダ君は長年これに付き合ってくれている。
私たち子供が匙を投げた彼女の道に。ああもう、ごめんね。いつもありがとう。

可愛い。
犬とは思えないタヌキのような下半身だけど、とにかく可愛い。

トリミングしてあげようとしたらウルトラの母になったことまだ怒ってる?

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Category: 恋する犬
Published on: Sat, 23 2022 03:01